再エネの固定価格買い取りは、合法的談合だ 21世紀政策研究所の澤昭裕氏に聞く

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澤昭裕(さわ・あきひろ)●1981年一橋大学経済学部卒、通商産業省(現・経済産業省)入省。資源エネルギー庁資源燃料部政策課長、東京大学先端科学技術研究センター教授などを経て、07年5月より現職。NPO法人国際環境経済研究所所長も務める(撮影:今井康一)

再エネにはエネルギー自給率向上という目的も言われたが、太陽光などの不安定な電源を入れるには、調整電源としてガス火力などを動かさずに置いておかねばならない。そのため、自給率向上にも役に立っていないという批判もある。

――FITをどのように見直すべきか。

再エネ導入によってCO2削減という目標を達成するならば、導入量の目標を決めて、それに見合う価格設定になるように仕組む必要がある。その点、FITは価格を決めて量を決めない。一方、量を決めて価格を競争的にするのが、以前あったRPS(買い取り固定枠義務づけ)という制度で、私はそれに戻すべきだと考える。

今後、エネルギーミックスが決められ、再エネの電源構成比率も決められる。その量を目標として、そこに至るまで太陽光や風力など再エネ同士でも競争させればいい。太陽光事業者同士でも安いコストで売電できる人から買う。いわば競争入札だ。

再エネにフリーランチはない

現在、電気料金に上乗せされる再エネの賦課金は、再エネ事業者の利益となっている。事業者が得して、消費者が損することが決まっているという意味で、FITは合法的な談合システムのようなもの。消費者に利益を移転するにはRPSがベストだ。

もしFITを続けるなら、制度設計を見直す必要がある。出力抑制が最も現実的な方法だろう。あとは、買い取り価格が決まるタイミングを接続契約時か運転開始時へ後ろ倒しにすることと、枠取りだけして何もしない事業者の認定を取り消すことを組み合わせることである程度、事業者を絞れるだろう。これらは法律改正なしにできる。

送電線の増強や揚水発電、蓄電池の活用によって再エネ導入を増やすというのはコストのかかる話であり、誰がコストを負担するかが問題。スペインでは電力会社が負担して経営が悪化し、政府が肩代わりせざるを得なくなった。再エネはコスト高で、誰かが負担すべきであることについて、国民がもっと共通認識を持つ必要がある。「フリーランチ(タダ飯)」はないということだ。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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