「中絶」がタブー視される日本人女性の気の毒さ 中絶がいまだに「罪」とされるのはなぜなのか

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1949年に認められるようになってから、日本では1日約400件の中絶が行われています(写真:mits/PIXTA)
アメリカで中絶をめぐる激しい議論が巻き起こっている。きっかけとなったのは、人工中絶の権利を認めるアメリカ最高裁の判決「ロー対ウェイド裁判」が覆る可能性があるという情報が漏えいしたことだ。近く最高裁の最終意見が出るとみられる中、アメリカでは著名人も巻き込んだ「プロチョイス(人工中絶擁護派)」と「プロライフ(中絶反対派)」の戦いが激しくなっている。
一方、日本では人工中絶には配偶者の同意が必要とする母体保護法に対する批判が強まっている。アメリカを含む多くの国では、女性が妊娠、出産、中絶など性や子どもを産むことを選択・決定できる「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」が認められているが、日本ではまだこの意識は低いと言わざるをえない。
アメリカでの論争はけっして日本人に関係がないことではない。本稿では日本における中絶に関する問題点を日本に長く住むフランス人ジャーナリスト、レジス・アルノー氏が指摘する。
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日本で中絶はめずらしくない

アメリカではついに中絶が違法になるのだろうかーー。日本でもアメリカの女性が中絶する権利に関するアメリカ最高裁の画期的な判決である「ロー対ウェイド裁判」が覆る可能性が注目を集めている。

現在、ワシントンで行われている裁判官の議論は注視されている一方、日本では、日本国内での女性の中絶について活発な議論が行われていないように感じる。だが近年、女性が自身の身体の生殖に関する機能をコントロールできるようになったことほど、男性にとっても女性にとっても重要な問題はないのではないだろうか。

日本人にとって「中絶」は交通事故のようにめずらしいことだと思われるかもしれない。だが、これはけっしてめずらしいことではない。1949年に中絶が認められるようになってから、現在では1日に約400件の中絶が行われている。

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