アメリカ「中絶反対派」がこんなにも強力な理由 小さな街で取材してわかった反対派の実態
避妊ピルを常備する高校生
アメリカの中絶問題を紐解くカギの1つとして、避妊の手段へのアクセスを見てみよう。
日本で避妊ピルが承認されたのは1999年。その2年前に、筆者はミシガン州の小さな町にある家庭でホームステイを経験していた。外国人の筆者を快く迎え入れてくれたその家庭には、17歳の高校生のサラがいた。彼女と私は同じバスルームを2人で共有して使うことになった。
ある日、戸棚の引き出しの中に、円形のプラスチックケースに入ったキラキラ光る数十の錠剤があるのに気付いた。
「ピンクとか青の色がついていてかわいいね。これはビタミン剤?」と聞いてみた。
「え、ピルだよ」とサラ。
「ピル? このビタミン剤みたいのが避妊ピル?!」
「そうだよ。知らないの?飲み忘れないように、錠剤の色が毎日違うわけ。で、時計回りに順番に飲んでいくんだよ」
「初めて見た。日本では避妊ピルはまだ承認されてないんだよ。そうか、これがピルなのか!」
「え? 避妊ピルがない国から来たの? じゃ、ジャパンでは、女性たちは望まない妊娠からどうやって自分の身を守るわけ?」
人口6000人の小さな町に住む高校生にそう聞かれて言葉に詰まった。当時、日本での中絶の件数は年間約34万件で、現在の2倍以上の数だった。
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