アップルが挑む"腕時計"にワクワクはあるか 4月発売に向けていよいよ詳細を発表へ

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とはいえ昨(2014)年の9月、iPhone 6シリーズと共に発表されたApple Watchへの見方はネガティブなものも多い。おそらくもっとも多い反応は、アップル自身がここまで力を入れて取り組む意味がどこにあるのか、というものだろう。なぜアップルは腕時計を出すのだろうか。

そもそもApple Watchの狙いとは何か。腕時計なだけに、まるで新しいジャンルの製品に挑戦しているようにも見えるが、アップルの狙いは新ジャンルの製品で大きな利益を挙げることではないだろう。今、アップルの核となっている事業を、さらに強化し、盤石のものとするための戦略の一部だ。

拡大するスマートデバイス市場

米国家電協会(CEA)とGfkが共同で発表した予測値によると、スマートフォンとタブレットを合計した「スマートデバイス」の売り上げは2014年、個人向けパソコンやデジタルカメラ、テレビなどを含むデジタル家電市場の46%を占めるという。

さらに市場が成長している新興国に絞り込むと、スマートデバイスの支配力はさらに高まり、中東・アフリカで50%、中国を含むアジア・パシフィックで52%に達する。これらスマートデバイスは、アップルがiPhoneを発表する2007年までは存在しなかった市場だ。金額ベースのグローバル売り上げでは大きな変化のないデジタル家電業界において、あっという間に半分を占める商品ジャンルになったのがスマートデバイスといえる。

そのスマートデバイス(市場の大きさから言えば、ほとんどスマートフォン市場のみと言ってもいいかもしれない。タブレット市場は昨年、金額ベースでマイナス成長だったからだ)というジャンルにおいて、アップルは特別な存在になることに成功した。台数、売上げともに大きなシェアを持つだけでなく、存在感と何より利益率という面で誰も追従できない体制を整えているからだ。

昨年最後の四半期、iPhoneの出荷台数は、記録を更新した前年同期からさらに46%増加し、7450万台に達した。それと同時に、売上高は57%増の512億ドルまで増加した。金額の成長率がより高いのは、アフォーダブルなプラスティック筐体のバリエーションをやめ、大型ディスプレイモデルへとバリエーションを拡げる方向へと方針を変えたためだ。

ティム・クック氏CEOは「四半期の間、1時間当たり3万4000台以上のiPhoneが、24時間、毎日、売れ続けたことになる」と話したように、販売台数も凄まじい数字だが、746億ドルの売り上げに対して180億ドルの純利益を出していることに注目したい。

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