20%ルールなどグーグルの人事管理は、すべての会社には当てはまらない--村上憲郎・グーグル日本法人元社長/前名誉会長(第2回)

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 くっきりとしたミッションステートメントやシンプルなビジネスモデルというのは、事業が何であれ適用できると思います。人事管理の面では、すべての会社に妥当性があるとはいえません。グーグルではいわゆる360度評価も行っていますし「20%ルール」というものもあります。

80%の力で達成可能な目標を与え、残り2割の余裕で好きな仕事をしなさいというルールです。この20%ルールは、グーグルのように即戦力となる人材ばかり入ってくる会社でないと難しいかもしれません。産業によっても違いますね。
 
 具体的なプロダクトを作るのではなく、グーグルのようなサービスを創造する産業においては、環境に自由度を持たせたほうが人材のモチベーション維持がうまくいくと思います。

--ネット上でサービスを無料で提供し、広告収入だけで収益を上げるというビジネスモデルの成功は、狙いどおりだったのでしょうか。

日本に関して言えばオンラインでの広告申し込みもありますし、後は広告代理店との関係作りが上手にできていれば広告は埋まるんです。

モノを売っていくビジネスに比べれば楽といえば楽なのかもしれませんね。実はこの広告収入というモデルは私の直属のボスが確立していったスタイルです。創業者のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンは、当初収入についてはまったくアイデアがなかったと思います。グーグルといえども、タイミングなどいろいろなものに支えられてここまでこれたのであって、あらかじめ立てた計画を着々と実現してきたというわけではありません。

ただし、「ミッションステートメントを完遂するには200年かかるよね」なんてよく冗談で言ったりしますが、そのくらいの思いで使命に挑戦し続けていることは事実でしょう。

--昨年、グーグルと中国政府との対立が話題となりましたが、ユーザーと情報の間に橋を架けようとする際、経営側としては国家という枠組みが邪魔になることがあるのではないでしょうか。

グーグルの見解ではなく私個人の見解を申し上げます。

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