20%ルールなどグーグルの人事管理は、すべての会社には当てはまらない--村上憲郎・グーグル日本法人元社長/前名誉会長(第2回)

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 国民国家が残念ながら存在し、その国境の枠内で法律が設定されており、国ごとに差があるというのは厳然たる事実です。グーグルも他社も、児童ポルノなど明らかに違法性を持つ情報については、きちんと各国で順法する形で検閲をしています。

たとえば、ドイツなどではナチスを称賛するような言説は違法ですから、それに関連するサイトへの架け橋は行いません。

ただし、独裁的な国家や非民主的な国家が、民主活動を制限するような検閲を主張する場合などは非常に悩ましいところです。その国をまったくサポートしないほうがいいのか、“better than nothing”(まったくないより、まし)という考えに従い検閲を受け入れてサービスを行うほうがいいのか、せめぎ合いになるのは確かです。

--今、フェイスブックが何かと話題です。

グーグルが一時期、「無料の社員食堂」や「20%ルール」といったネタを取りざたされたように、フェイスブックについてものぞき見趣味的な情報ばかりが流通しています。フェイスブックには、グーグルに元いた人間を含めインターネットビジネスに精通したエグゼクティブたちがマーク・ザッカーバーグという26歳のCEOを支えているというところにこそ注目すべきではないでしょうか。

グーグルはソーシャルネットワークで後れをとっているなどとまことしやかに言われていますが、それは違う。

グーグルはアクセスが許可されている情報の橋渡し役です。

ですから、たとえばツイッターは、開けているからリアルタイムでグーグルのロボットが追いかけられる。けれど、フェイスブックは立ち入り禁止になっているから追いかけられない。それ以上でもそれ以下でもないのです。

(撮影:尾形文繁)

むらかみ・のりお
2003年4月、Google Inc. 副社長兼 Google Japan 代表締役社長として Google に入社以来、日本における Google の全業務の責任者を務める。09年1月で社長退任、名誉会長就任。10年12月名誉会長退任、現在に至る。京都大学大学院非常勤講師、会津大学参与。Google入社以前には、01年にDocentの日本法人であるDocent Japanを設立し、同社の社長としてe-ラーニング業界でリーダーシップを発揮。1997年から99年の間は、Northern Telecom Japanの社長兼最高経営責任者を務め、Northern Telecomに買収されたBay Networksの子会社であるBay Networks Japanとの合併を成功に導く。後にNortel Networks Japanと改名された同社において、01年中旬まで社長兼最高経営責任者を務める。日立電子のミニコンピュータシステムのエンジニアとしてキャリアをスタートした後、Digital Equipment Corporation(DEC)Japanのマーケティング担当取締役などを歴任し、マサチューセッツの DEC 本社にも5年勤務。京都大学で工学士号を取得。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・経営者JP主催のセミナー「トークライブ・経営者の条件」との連動企画です。
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