親御さんは、「うちの子には才能がない」と言って嘆いておられたので、「何をしているときに子どもは生き生きしているか」を観察してもらいました。
すると、1人で黙々と本を読んでいるときだということがわかりました。その後、「本は読みたいだけ読んでいい」と子どもに伝えてもらいました。その結果、子どもは、活動へのモチベーションを取り戻し、知ることの楽しさから勉強に意識が向かったのです。まさか、本を読むことが才能とは思っていなかったようです。
子どもを観察し才能を見つける
親が子どもに期待すること自体は悪いことではありません。しかし、その期待どおりにいかないこともあります。そのときに、この子には才能がないと断定するのではなく、子どもを観察することで別の才能があることがわかってきます。
これまでの筆者の経験では、どの子も必ず何かしらの才能を持って生まれていると確信しています。
ですから、親御さんは、子どもを見て、「ああしたい、こうしたい、こういう子になってほしい」と思うよりも、「子どもが生き生きしているときはどんなときだろう?」と観察し、ワクワクしながら育てていくことをお勧めしています。
人を育てるうえで最も大切なことは、「長所を伸ばすこと」とよく言われます。筆者もこの34年間、この原則を終始貫いてきました。この言葉の意味を理解するには、実際にやってみるとわかります。
短所を是正するあり方と、長所を伸ばすあり方を両方試すのです。子どもを使って実験するのは酷なので、自分で試してみます。
例えば、1週間、自分の短所ばかりに注目し、それを修正することばかりしていきます。もう1週間は、自分の長所を意識し、それをさらに伸ばすこと、実践することをやっていきます。前者をやればやるほど自信もモチベーションも損なわれていきます。
子どもはとくに長所が自分で認識できません。一方、短所は認識しています。そのよくわかっている短所を人から指摘されるから腹が立つのです。
そこでまずは「長所に気づいてもらうこと」から入ります。1度や2度では認識はできません。何度も伝えていきます。すると子どもは自分を肯定できるようになります。つまり自己肯定感が上がるという状態です。この状態になると、もともと自分で認識していた短所を是正するという余裕が心に生まれてきます。
長所をさらに伸ばすことだけに焦点を絞ることで、あとは自動的に変わるという原理です。もちろん子どもが自分で気づいていない短所もあるかもしれません。その場合は、知らないだけですから、教えてあげればいいのです。
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