止まらぬ「円安」で広がるイギリスとの"絶望格差" 「為替レート=国力」の視点で円安を捉え直す

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「円を持った日本人」にとってロンドンでの生活は何でも高く感じられる(写真:Bloomberg)

6月に入り、円ドルレートが一気に1ドル=130円を突破しました。円ドルレートは、今年3月の1ドル=115円台から5月初めの130円台まで急速に円安が進み、その後、やや円高に戻しましたが、足元で、再度、円安が加速しています。この水準は約20年ぶりであり、連日大きく報道されています。

ただ、日本に住むほとんどの人は、毎日「円」だけで生活しているので、円ドルレートがいくらであろうと、あまり関心や実感がないかもしれません。

しかし実際には、日本という国自体がアメリカをはじめとする海外諸国との密接な経済関係の上に成り立っているので、そこで使われる為替レートは、われわれの生活はもちろん、日本という国の将来にも大きな影響を及ぼす重要なものなのです。では、為替レートは、われわれの生活や国の将来に何をもたらすのでしょうか。この機会に改めて考えてみましょう。

ロンドンの回転寿司は一皿900円!

 為替レートを一番実感できるのは、海外旅行や海外生活です。例えば、イギリスのロンドンで生活したとしましょう。ロンドンは物価が高い都市として有名ですが、ロンドンの地下鉄初乗り料金は4.9ポンド、6月6日現在の1ポンド=165円で日本円に換算すると約800円です。

名物の「フィッシュ&チップス」も、約10~15ポンドなので、約1600~2500円。ロンドンでも人気のある回転寿司では、高いお皿は5.5ポンドで約900円、一番安いお皿でも2.5ポンドなので400円を超えます。

筆者は、1990年代後半にロンドンに2年半、駐在しましたが、当時は、1ポンド=180円前後でしたので、やはり、何を食べるにも、何を買うにも「高い」と思わざるをえない生活でした。

次ページ「円換算すると何も買えない」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事