「2食抜き+スポーツドリンクをチビチビ飲む」
真冬はノロウイルスによる感染性胃腸炎の流行シーズン。症状には個人差があり、突然の吐気や嘔吐(おうと)、腹痛、下痢などを伴うのが一般的だ。症状が重いときには医療機関へ行っても、比較的症状が軽くて発熱が伴うと、「風邪かな?」と思うこともあり、市販の風邪薬や胃腸薬を飲んで様子を見る人もいるだろう。
仕事を休めないゆえに、吐気に見舞われながらも「体力をつけよう」と無理に食事をとれば、さらに嘔吐や下痢に見舞われやすい。もちろん、乳幼児や高齢者は、ノロウイルスによる脱水症状により、命に関わることもあるため、医療機関での適切な対処が望ましい。だが、働き盛りの人はどう対応すればノロウイルスによる感染性胃腸炎から早く回復できるのだろうか。
「その症状、もしかして薬のせい?」(セブン&アイ出版)の著者である、長尾クリニック(兵庫県尼崎市)の長尾和宏院長がアドバイスする。
「ノロウイルスには、抗ウイルス薬はなく、予防のためのワクチンもありません。働き盛りの人が感染した場合、症状は2~3日で自然に治るのですが、市販の下痢止めを飲んでしまうと、ウイルスを体外に排出することができなくなり治りづらくなります。また、体力をつけるため無理に食事をすると、ノロウイルスによる腸の炎症が悪化し、下痢や嘔吐の症状が激しくなります」。
「私が患者さんに勧めているのは、①食事を2食抜くこと、②スポーツドリンクをチビチビ飲むことです。気分が少し良くなって食欲が出てきたら、消化の良い食事を少しずつ口にする。それが、早く治るコツです」。
下痢止めで、ノロウイルスの排出を無理に止めるのは逆効果。しかし、腹痛が伴うと苦しい。こんな場合、薬を飲まずに、ひたすら耐えなければいけないのだろうか。
「患者さんには、ノロウイルスの排出と関係のない整腸薬や、木(もく)クレオソート(一般名・正露丸)はお勧めしています。正露丸はいろいろな製薬会社が販売しているのですが、ロートエキスが入っているものとそうでないものがあります。ロートエキスが入っていると、副交感神経の作用を遮断するため、口が渇きや眠くなるなどの副作用もあるので注意が必要です」(長尾院長)。
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