「女性にうれしい低カロリー」に抱く違和感の正体 言葉に潜む「考え方の偏り」を正しく理解しよう

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低カロリーは必ずしも「女性」だけがうれしいとは限りません。言葉の偏り(バイアス)について考えていきます(写真:takeuchi masato/PIXTA)
多様化する世界の中で、言葉が氾濫する昨今。きっと誰もが言葉で誰かを「傷つけた」「誤解させた」「モヤッとさせた」経験があるのではないでしょうか。
誹謗中傷や新型コロナウイルス、国際的な分断が深まり、SNS上で言葉が残ってしまう昨今では、「言葉えらび」がいっそう重要になっています。
目まぐるしいテクノロジーや社会の変化に合わせて、私たちが発する言葉をもっと注意深く扱い、現代に合わせてアップデートするための「24の言葉の型」をまとめた小竹海広氏の新刊『言葉のアップデート術』より、そのヒントを紹介していきます(2回目。1回目はこちら)。

『新世紀エヴァンゲリオン』では、「彼女とは、遥か彼方の女と書く。女性とは向こう側だよ、我々にとってはね」と、加持リョウジというキャラクターのセリフがあります。

この言葉の裏側には、彼女という存在を「遥か彼方の存在」への理解を放棄させるわけではなく、かつてソクラテスが唱えた「無知の知」を戒める言葉だと私は捉えています。

つまり、「知ろうとしていても、おそらく知らないことも多いはずだ」という前提が大切だということが、このセリフから読み解けるわけです。

これは恋愛の話に限らず、言葉に対しても同じことが言えます。

よい表現と言えない広告や宣伝とは

例えば、「ママもうれしいキッチン家電」「奥さんが助かる冷凍食品」といった言葉は、家電量販店に行くと店頭で目にするようなフレーズの1つだと思います。見る機会が多いフレーズなので思わず素通りしてしまいますが、現代の視点から見ると、あまりよい表現とは言えない側面もあります。なぜなら「家事は女性がするもの」というバイアスが、言葉のなかに潜んでいるからです。

「ママ」「奥さん」といった特定の性別に言及せず、フラットな表現に変えてみるといかがでしょうか。売れるフレーズかどうかは別として、例えば「便利なキッチン家電」「おいしい冷凍食品」と言い換えるほうが、現代においては適切と言えるはずです。

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