「女性にうれしい低カロリー」に抱く違和感の正体 言葉に潜む「考え方の偏り」を正しく理解しよう
ほかにもよく使いがちなのは、よかれと思って使われる「女性にうれしい低カロリー」「女性が働きやすい職場」といったフレーズです。食品パッケージや求人広告などで見た方もいらっしゃると思います。
いずれも「女性はやせているべき」「女性の仕事」といったバイアスを受け手に与えかねないので、注意が必要です。
また、「男性らしさ」「女性らしさ」といった言葉も、今では死語となりつつあります。日本が国際指標の「ジェンダーギャップ指数」において長く下位に位置しているのは、こういった言葉1つひとつの扱い方も影響しているのかもしれません。
昔からの「〇〇らしさ」ではなく、多様な「自分らしさ」を認め合うことが、バイアスを取り払う一歩になるはずです。
近年公開された映画を見ても、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の主人公レイや、アベンジャーズ最強のキャプテン・マーベル、『マトリックス レザレクションズ』でネオを救うトリニティーなど、彼女たちは容赦なく敵を倒す圧倒的に強い存在として描かれています。かつてのように誘拐され、主人公の助けを待つヒロインの姿はそこにはありません。
ステレオタイプに囚われず、「本当の自分らしさ」を再発見するテーマが共感を集める時代になってきているのです。
「コンプレックス広告」がNGに
2020年8月、ヤフー・ジャパンはいわゆる「コンプレックス広告」の掲載禁止を発表しました。コンプレックス広告とは、「ムダ毛のせいで恋人に振られた」「飲むだけでやせるサプリ」など、人のコンプレックスを刺激する広告のことです。
原文では「一部の身体的特徴をコンプレックスであるとして表現することは、差別意識を温存、助長するものであり、決して許されるべきものではない」としています。ネット記事の横にあるバナー広告や、YouTubeのマンガ広告で半強制的に流れる動画を目にして、気分を悪くした経験のある私たちにとって朗報でした。
2021年6月、シェービングブランドのビリーが『塔の上のラプンツェル』をパロディ化した絵本テイストの画像をインスタグラムで公開し、話題になりました。
主人公は塔から長く伸ばした脇毛を垂らして、プリンスの助けを待つのではなく、優雅にペントハウスで暮らしているというストーリーです。コンプレックス広告では、体毛をムダ毛として取り上げることが多いですが、伸ばす自由も、剃る自由もあっていい、というメッセージがそこには込められていたのです。
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