「すぐキレる子」の脳にスマホが与えた深刻な影響 ジョブスが子どもをデジタルから遠ざけた真相

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スクリーンタイム増加の原因のほとんどは、スマホやモバイル機器によるものだ。これらのデバイスは、目や身体に近いところで使用されるため、複合的な毒性があるのだが、1日のうちに使われる回数が増え、以前は会話を楽しんでいたとき、たとえば車に乗っているときや皆で外食をしているときなどにも使用されるようになった。2005年から2009年にかけて、子どもの携帯電話の所有率は約2倍に増加し、10歳児の約3分の1が自分の携帯電話を持っている。

2014年にはアメリカの10代の3分の2がスマホを持ち、7割がiPadやタブレットなどのインターネット接続機器を持っている。2010年にニールセン社が発表したレポートによると、米国の10代の若者は、月に4000回以上、1日に約130回メールを送っているという。

多くの親は、デジタル機器をいじることが子どもの行動や気分に好ましくない影響を与えることを直感的に感じていながら、どうしたらいいのかわからない。また、家庭でも学校でも、電子機器があまりにも普及しているため、手に負えないように感じてしまうのだ。

「脳がショート」する

ひとことで言えば、子どもたちは、ストレスを受けたときに感情的な反応や覚醒レベルを調整することができない「調節不全(dysregulated)」に陥っているのである。2013年には、「重篤気分調節症(DMDD)」という新しい診断名が発表され、話題となった。これを発表したのは『精神疾患の診断・統計マニュアル』の第5版(DSM︲5)である。慢性的なイライラ、集中力の低下、怒りで感情を抑制できない、激しい反抗的行動などの症状を持つ子どもが、気がかりなほど増えている。そういった子どもが、双極性障害やその他の疾患と誤診され、抗精神病薬を処方されているのではないか。

しかし、この調節不全を特徴とする「障害」が、謎の新種の疫病ではなく、環境に起因するものだとしたら? 感情の調整不全は、電子機器のスクリーンを見続けることで、脳がショートしてしまうという副産物に過ぎないのではないだろうか? もしそのようなスクリーン機器を体系的に取り除くことで、すぐに症状が改善されるとしたら?

私がデジタルスクリーンの悪影響に気づいたのは、2000年代初頭に、特に敏感な(心的外傷を伴う精神疾患を抱えた)子どもを担当していたときだった。そのなかには、グループホームに住んでいる子、里親に預けられている子、新しい家族に養子に出された子もいた。現在の状況がどうであれ、トラウマを抱えた子どもは、多くの症状が現れやすいことが共通していた。

トラウマを持つ子がストレスを感知すると、「一触即発」の状態に陥り、小さな身体が常に「戦うか逃げるか」の状態になる。この状態の特徴には、「感情的に反応する」「指示に従うのが難しい」「ちょっとした不満でキレてしまう」「すぐに興奮してしまう」などがある。

このような敏感な子どもたちを何か月も何年も定期的に観察しているうちに、私が発見したのは、ゲームの時間がたとえ「わずかな量」であっても、この「戦うか逃げるか」反応を引き起こすことだった。これは、治療で和らげようとしたり、薬で鈍らせようとしていたのと同じ反応である。

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