「すぐキレる子」の脳にスマホが与えた深刻な影響 ジョブスが子どもをデジタルから遠ざけた真相

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そして、これ以上何かを変える前に、一見過激でシンプルなことを試してみてはどうかとアドバイスした。ゲームと携帯できる電子機器とパソコン、スマホを、すべてライアンの手元から3週間撤去する。つまり、ライアンに「デジタルデトックス」をしてもらうのだ。

話し込むうちに、彼女は説明に納得した。ライアンが初めて「スマート」と名の付く携帯電話を手にしたのは前の年で、その後ほどなく悩みが始まったからだ。何とか改善したいと思い、すぐに私が提示したプランを実行した。

4週間後、彼女は私を訪ねてきて、「ライアンは、ずっと、ずっと、よくなったわ」と興奮気味に報告してくれた。彼女の顔、身体、それに話し方までもが、リラックスしているように見えた。

彼女は引き続きデジタル機器の使用を控えさせ、6か月後にはライアンはすべての薬がいらなくなった。成績は上がり、再び友だちと一緒に外で遊べるようになったという。「息子は自分を取り戻したの」と、彼女は誇らしげに話してくれた。

なぜライアンは、評判のよい専門家たちに誤診されたのだろうか? そのうちの2人は、ロサンゼルスの主要学術機関の教員である。また、なぜ彼は多くの薬を飲まされたのに、それらの薬はひとつも役に立たなかったのか?

残念ながら、ライアンが経験したことは、現代では決してめずらしくない。その理由を探る前に、小児期の精神疾患の新たな傾向について考えてみよう。

激増する子どもの発達障害の診断

1994年から2003年までのわずか10年間で子どもの双極性障害の診断数が40倍に増加している。ADHD(注意欠陥多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、チック障害などの小児精神疾患も増加している。2002年から2005年にかけて、たった3年でADHDの薬の処方は40%増加した。

現在、子どもの障害申請理由の第1位は精神疾患であり、2012年に申請された全請求の半分を占めているが、20年前にはわずか5~6%にすぎなかった。

こういった子どもの心理社会的・神経発達的問題の増加は、日常生活でデジタルスクリーンにさらされる機会の増加と緊密に関連している。子どもたちは、家庭や学校でかつてないほどスクリーンを見る時間が増えているだけではなく、さらに幼い年齢層からスクリーンにさらされるようになった。

現在、2歳から6歳の子どもたちは、1日に2時間から4時間をスクリーンの前で過ごしている――この時期は、正常な成長のために健康的な遊びを十分に行うことが重要な時期である。そして、学習や発達に関する長期的なデータが存在しないにもかかわらず、幼稚園を含む幼児教育でコンピュータを使ったトレーニングは一般的になっている。

また2010年、健康問題の調査を多数行っているカイザーファミリー財団が行った大規模な調査によると、8歳から18歳の子どもたちは現在、1日平均約7時間半をスクリーンの前で過ごしている――わずか5年前と比べて20%も増加しているのだ。

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