上司が「席に仕切り」を作りたがらない本当の理由 部下の姿が見えない上司の「憂鬱」が関係?

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仕切りのない大部屋オフィスにこだわる管理職の本音とは?(写真:takeuchi masato/PIXTA)
新型コロナの第6波も引き潮ムード、今年のGWはようやく県境を越える移動制限もない。久しぶりに帰省や家族旅行に出かけたという人も多かったのではないだろうか。
休み明けの職場は、久々の仕事にどこか身の入らない顔があちこちに見える。日本のオフィスは仕切りがなく、管理職も一般社員も同じ部屋で働いているため、嫌でも周囲の様子がわかるのだ。
この仕切りのない大部屋オフィスは、日本独特の形式として知られる。組織論、人事管理論を専門にしている同志社大学政策学部教授・太田肇氏は、欧米には見られない、この「大部屋スタイル」には日本人特有の「承認欲求」が関係しているという。新刊『日本人の承認欲求 テレワークがさらした深層』から一部抜粋してお届けする。
前回:『あなたの上司がムダに出社させたがる本当の理由』

部下の姿が見えない上司の憂鬱

緊急事態宣言後、新たに週4日以上のテレワークを実施した人を対象に行われた調査では、管理職と非管理職(一般職)の間に意識のズレがあることがわかる。テレワーク中に不安を感じた点として管理職は、「部下の業務推進」(50.0%)、「部下とのコミュニケーション」(49.3%)が1、2位を占める。

一方、非管理職は「同僚との連携」(51.0%)、「自身の業務推進」(48.0%)が1、2位で、「上司とのコミュニケーション」(40.7%)は8位にあがっているに過ぎない(総合人材サービス企業のアデコが2020年7月に管理職・一般職それぞれ300人に行った調査)。部下よりも上司のほうが、相手を気にしている様子がうかがえる。

またテレワーク実施後ほぼ1年たってから行われた別の調査では、長期化するテレワークで部下とのコミュニケーションにストレスや悩みが「かなり増えた」または「増えた」という回答が40.1%で、「かなり減った」または「減った」という回答の9.5%を大きく上回っている。そして、増加した理由として第一位にあがったのが「部下との距離感」(63.9%)だった(ダイヤモンド・コンサルティングオフィスが2021年5月に行った調査。管理職539人の複数回答)。

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