テレビに学ぶ子と悪影響受ける子の微妙な境界線 3歳が境目も長すぎる視聴はやはり望ましくない
過去30年間ではテレビの教育番組が、過去10年ではパソコン、スマホ、タブレットなどスクリーンメディアの教育コンテンツが凄まじい進歩を遂げてきた。どれも、「早期に読み書きと算数の基礎能力を身につけられる」とうたっている。
実際、『セサミストリート』には3〜5歳の子どもの就学レディネス(就学前準備)を高めたと示唆する質の高い研究がある。一方で、テレビ(もっといえば、あらゆるデジタル機器の画面)の視聴は認知能力の発達に悪影響があると示唆するエビデンスも多数存在する。テレビを長時間見る子どもは健康でなく、学力テストの得点も低いという研究だ。
どちらが正しいのだろう? 生後9カ月の赤ちゃんにDVDを見せると早くおしゃべりできるようになるのか。それとも「テレビの見過ぎ」を助長していることになるのか。
「画面」より「人」から多くを学ぶ
発達心理学という、子どもの学び方に着目した研究の中から、赤ちゃんとトドラー(よちよち歩きを始める1〜3歳くらい)がビデオから学習する可能性をみると、結果はあまり芳しくない。
ある研究では、生後12カ月、15カ月、18カ月の子どもに、生身の人かテレビの人のどちらかが、パペットと一緒に何かの動きをしているのを見せ、子どもがその時点と24時間後に動きを真似できるかを評価した。3つの年齢グループすべてで、実際の人の動きを見ていた子どもの一部は、1日後でもまねることができた。しかし、動画では成功率はぐっと下がった。12カ月の子どもは何も学習せず、年上の子どもたちも実際の人を見ているときより学習していなかった。
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