テレビに学ぶ子と悪影響受ける子の微妙な境界線 3歳が境目も長すぎる視聴はやはり望ましくない

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

親として告白すると、私はテレビが学習の機会になるとは考えたこともなかった。うちの子どもたちはテレビを多少は見るが、私が何かをしなければならない時間に集中している。週末の夕方、まる1日子どもたちと過ごし、夕食の準備にかからなければならないとき、30分テレビを見せておくととても助かる。

同じ目的でテレビを見せている親が知りたいのは、テレビが学習機会になるかどうかではなく、有害かどうかだろう。テレビは子どもの脳を腐らせるのではないか。

数多くの研究で、テレビの視聴時間と子どもの学力低下との相関関係が報告されている。なかでも、全米規模の大きなデータセットを用い、乳幼児期のテレビ視聴と6〜7歳の子どもの学力テストの得点の相関関係を調べた2005年のフレデリック・ジマーマンとディミトリ・クリスタキスの論文は有力だ。

3歳未満で視聴時間が長いと「テスト」が悪い

子どもたちは「2つの時期」での「テレビ視聴時間」によって、4つのグループに分けられた。「3歳未満」の時期と「3〜5歳」の時期で、それぞれ視聴時間が1日3時間以上の「高視聴」グループと、それに満たない「低視聴」グループだ。

20%の子どもが、3歳未満の時期と、3〜5歳の時期の両方で、1日3時間以上テレビを視聴した「高・高グループ」になった。26%が「低・高」グループ(3歳未満では視聴が少ないが、3〜5歳では多い)、50%が「低・低」グループで、「高・低」グループはわずか5%だった。

6歳時の算数・読み・語彙のテストの得点に、グループ間で違いがあることが報告された。3歳未満でテレビ視聴時間が長いと、学力テストの得点が低くなることが示唆されたのだ。このデータからテレビはよくないというエビデンスを求めるなら、3歳までの高視聴があてはまりそうだ。

だが、年齢が大きくなると視聴は問題がないと思える。たとえば、3歳前にほとんどテレビを見なかったが、3〜5歳の間にたくさん視聴した子どもと、3歳以前も以降もあまり見なかった子どもを比較すると、テストの得点は変わらなかった。それどころか、後からたくさん見た子どものほうが、テストの得点は高かったのだ。大きな子どもにはテレビを見せないという意見に水をさす結果だが、表面上は3歳までテレビは避けるという推奨に根拠があることを示唆している。

次ページスクリーンの影響は未知数
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事