テレビに学ぶ子と悪影響受ける子の微妙な境界線 3歳が境目も長すぎる視聴はやはり望ましくない

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もう1つの研究例では、DVDから母国語でない音を聞かせつづけた。出生時の子どもはどの言語の音も学習できるが、成長とともに普段から聴いている音だけを聞き取るようになる。研究では、英語を母語とする9〜12カ月の赤ちゃんに、実際の人間かDVDを通じて中国語の音声を聞かせた。人間では効果があったが、DVDではなかった。

2009年に同様の手法で12〜15カ月の赤ちゃんと親が対象の「DVDグループ」と「非DVDグループ」に行われたランダム化比較試験では、子どもが話す単語数と語彙の増加速度に最も影響するのは親が本を読み聞かせたかどうかだと指摘された。この研究を2歳の子どもまで広げた研究でも、結果は同様だった。

「3歳」を超えるとテレビから学べる

ビデオは赤ちゃんの学習に役立たないかもしれない。だが、少し大きくなると、子どもはテレビから学習できる。

子どもは映画やテレビ番組から歌を覚える。キャラクターの名前や話の要素も覚える。研究では、3〜5歳の子どもはテレビから単語を学習できることが示されている。すると、いいことも覚えられるはずだ。

そのいちばん有力なエビデンスは『セサミストリート』の研究から生まれている。番組の目的は明らかに「学習」で、3〜5歳の子どもの就学に向けた学びの基礎(レディネス)を固めるのがコンセプトだ。研究者は、『セサミストリート』の効果をランダム化比較試験で評価しようとした。ある研究では、介入群の家庭にテレビ機器を設置し『セサミストリート』を見やすくした。すると2年間で、語彙など、就学前のレディネスを示す様々な尺度に向上が見られたのだ。

また、『セサミストリート』効果は長く続くようで、早くから試聴した子どもたちは、のちに学校で勉強が遅れることが少なかった。

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