周りに「話しにくい」と避けられる人の残念な思考 人の話を聞かず自分の話ばかりしていませんか
話しやすい人だと思われたい人は、「自分の話ばかりしないように気をつける」「話の要点を簡潔にまとめる」といったことを心がけましょう。自分で問題点に気づくのはなかなか難しいので、遠慮なく意見を言ってくれる信頼できる友人に、ときどき話し方をチェックしてもらうのもいいかもしれません。
しかし、なかには「相手がうんざりしていようとなんだろうと、私は自分の話したいことを話したい」という人、自分の話ばかりするのをどうしても止められない人もいるかもしれません。
その場合、どんなに自分の話をしても聞き流してくれる、包容力のある(もしくは、基本的に他人の話をちゃんと聞いていない)人以外から敬遠されても、「仕方がない」とあきらめましょう。あなたに自分の気持ちを優先する自由があるように、相手にも自分の気持ちを優先する自由があるのです。
自分の話ばかりしてしまう人の心理については、別の機会にあらためて考察します。
コミュニケーションはギブ・アンド・テイク
「自分の話ばかりするのはダメと言ったり、自分の話をしないのはダメと言ったり、どっちが本当なの?」と思われるかもしれませんが、どちらも本当です。
コミュニケーションの基本は「ギブ・アンド・テイク」「コール・アンド・レスポンス」であり、一方だけが一方に与え続けるという関係性には、どうしても無理が生じやすくなります。
世の中、何事もバランスです。「過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し」といいますが、どんなに「良い」とされることでも、やりすぎたり多すぎたりすると、必ず何らかの弊害が生じます。「これが絶対的に正しい」「これだけやっておけばいい」といいきれることは、ほとんどありません。それが、この社会のおもしろさであり難しさなのです。
話を元に戻しましょう。
自分の話をまったくしない人、自分の意見をまったく言わない人は、どうしても「得体の知れない人」「何を考えているのか、いまいちよくわからない」と思われやすく、なかなか信頼関係を築くことはできません。
心理学の用語で、「返報性の原理」という言葉があります。これは、「誰かに何かをしてもらったとき、『お返し』をしたくなる」という心理のことです。
贈り物をされたときや仕事を手伝ってもらったとき、(それが本当に欲しいものだったかどうか、助かったかどうかはともかくとして)多くの人は「借りができた」と感じ、「何らかの形でお返しをしなければ」と思うのではないでしょうか。
この原理は、信頼関係の形成にもあてはまります。
自分のことを包み隠さず話すことを「自己開示」といいますが、あなたが自己開示を行うと、相手は「これだけ自分のことを話してくれたんだから、こちらも自分のことを話さなければ」という気持ちになります。そして相手が自己開示を行うと、相手の脳は「自分はこれだけプライベートなことを話しているのだから、この人を信頼しているのだ」と錯覚します。
このように、互いに自己開示を行うことにより、「この人のことは信頼できる」「この人になら何でも話せる」という信頼関係が育まれていくのです。
逆に、自分のことをまったく話さなければ、相手は「この人は自分のことを信頼してくれていないんだな」と感じ、相手もあなたに対して心を開いてくれません。