池袋に増殖する「ガチ中華」の知られざる大変貌。おなじみの東北料理、四川料理だけでなく本格的な江西料理、ウイグル料理も堪能できる時代に

「ガチ中華」という言葉をご存じだろうか。日本人向けの味付けではなく、本場そのものの中華料理を提供する飲食店や料理のことだ。
東京・池袋といえば、近年は「ガチ中華が多いエリア」として知られている。筆者もときどき食べに行くが、とくにここ数年の出店ラッシュと変貌ぶりはすさまじい。
中国・深圳から日本に出張でやってきた中国人の友人と池袋を訪問した際、友人は「以前は東北地方の料理が多かったのに、こんなに多くのジャンルの料理店ができているとは……」と目を丸くした。この変化は一体何を表しているのか。
マニアックな江西料理を食べられる
筆者と友人が待ち合わせたのは、池袋駅西口(北)を地上に出て徒歩3~4分の場所にある江西料理店「金喜悦」池袋北口店。なぜ、この店を選んだのかというと、友人が次のように言ったからだ。
「以前深圳に住んでいた江西省出身の中国人が東京に江西料理店をオープンして美味しいと聞いた。ぜひ行ってみませんか?」
江西料理といっても聞きなれない人が多いだろう。中国南東部、福建省や広東省に隣接する江西省。ネットで同省の料理店を検索しても、都内に数店舗しかない。希少な中華ジャンルのひとつといえるだろう。
実は、中国歴が40年近くになる筆者もこれまでに江西料理を食べた記憶がない。景徳鎮という有名な陶磁器の産地がある省といえば、知っている日本人もいるだろうが、中国全体でみても、かなり影が薄い省だ。
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