池袋に増殖する「ガチ中華」の知られざる大変貌。おなじみの東北料理、四川料理だけでなく本格的な江西料理、ウイグル料理も堪能できる時代に


江西料理の特徴は、中国醤油や豆鼓(トウチ)などの調味料、唐辛子などを多く使った、濃くて辛い味つけの料理。隣接する湖南省、安徽省の料理にも近く、豚肉、鶏肉、豆腐、カエルなどの煮込み料理、蒸し物が多い。
「辣椒炒肉」は青唐辛子と豚肉の辛い炒め物で、江西省を代表する料理のひとつだ。ほかに梨入り肉団子スープという珍しい料理もある。だが、そんなマイナーな江西料理でさえ、今の池袋で食べることができる。
2022年に「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた「ガチ中華」の主要エリアと呼ばれているのは、池袋、新宿、高田馬場、上野、御徒町、小岩、蒲田、川口(埼玉県)などだが、池袋にはどれくらい、ガチ中華の店があるのだろうか。
中国籍人口の増加につれて賑わうガチ中華
横浜中華街のような観光地とは違い、ガチ中華の主要エリアには、中華料理店が加盟する協同組合などの組織がなく、池袋の店舗も正式な数は不明だ。
ただ増加ぶりは推測できる。中華街などの研究家として知られる山下清海氏のウェブサイト内にある「池袋チャイナタウンガイド」によると、2007年は約35軒だったとある。それが「新版 攻略!東京ディープチャイナ」(東京ディープチャイナ研究会編)によると、2022年には102軒にまで増加しており、15年間で3倍にまで増加していることがわかる。
また、池袋の中国籍人口も増加している。豊島区のホームページによると、豊島区の中国籍人口は2014年に1万1584人だったが、2024年には1万6482人となっており、この10年で42%増加した。埼京線で3駅隣の赤羽がある北区も2014年(7836人)から2024年(13053人)で66%増、隣接する新宿区も2014年(12713人)から2024年(17240人)で35%増加している。
池袋周辺の中国籍人口が増加するにつれてガチ中華が増えているようだ。ちなみに、2023年の住民基本台帳によると、外国人比率が最も多いのは新宿区で11.63%、2位が豊島区で10.02%となっている。
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