実は、さらに深刻な指摘もある。
子供の身長が伸びるのは小学校高学年からだとされる。これを“身長スパート”というが、専門家はこの時期に過度の運動を行うと、“身長スパート”が早くに終わってしまい、身長が伸びないケースがあると指摘する。
この時期の運動は、過度な負荷がかからないように運動強度、時間、頻度などの調整を行う必要がある。また十分な栄養と睡眠が必要だ。
練習漬けの生活を送っていた小学生が怪我や故障で数カ月休んでいるうちに、急に背が伸びることがよくあるが、これは過度な運動を休止することで“身長スパート”が再開したということになる。
小学生スポーツの全国大会で大活躍した子供の中には、その後、体が大きくならず、低迷したり、競技を断念するケースもよく見られるのだ。
「小学生スポーツの大会に行ってごらんなさい。カメラやスマホを構えた親が子供に群がっていますよ。私には親の自己満足にすぎないんじゃないかと思いますよ」
あるスポーツ指導者の言葉だが、確かに、小学校の全国大会では大人のほうが盛り上がっているように思われる。
また全国大会で優勝したり、好成績を上げる指導者は「名将」と持ち上げられることも多い。
身も蓋もない言い方をすれば小学校の全国大会は「子供をだしに使って大人が感動に浸る大会」という見方もできなくはないのだ。
トーナメントよりもリーグ戦のほうがいい
筒香嘉智(現パイレーツ)、森友哉(西武)らを輩出した大阪府の堺ビッグボーイズは、小中学生に「未来を見据えた指導」をすることで知られている。指導者の阪長友仁氏は語る。
「小中学生の時期に、勝った負けただけにこだわっても仕方がない。もちろん試合では勝つためにプレーするのですが、目先の勝利にこだわるあまり、怪我をしたり、将来の芽を摘んでは意味がありません。
むしろいろんな経験をする中で、そのスポーツを好きになってもらうのが一番大事なのではないでしょうか? そういう意味ではトーナメントではなくリーグ戦のほうがいいでしょう」
10代で競技生活のピークを迎えるような一部の競技はともかく、柔道だけでなく他のスポーツでも「全国大会の功罪」について真剣に議論すべき時が来ているのではないだろうか?
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