4月10日、千葉ロッテの佐々木朗希は、オリックス3回戦で完全試合(史上16人目、最年少)に加え、史上1位タイの19奪三振、史上1位の13人連続三振など破天荒な記録を達成した。プロ野球史上に残る快挙ではあるが、佐々木の快投は「日本野球の選手育成のあり方」に大きな一石を投じるものとなった。
まずは3年前の出来事を振り返ろう。
大船渡高の佐々木朗希の名が全国的に知られるようになったのは、2019年4月、高校日本代表候補による研修合宿で、非公式ながら163㎞/hの球速を記録してからだ。同じ岩手県出身の大谷翔平に続く「怪物投手」として注目を集めた。
佐々木朗希の台頭で、大船渡高は夏の甲子園の最有力校の一つと見なされるようになった。
7月の岩手県大会、佐々木は16日の2回戦で2回19球、18日の3回戦で 6回93球を投げて1安打も許さなかった。しかし21日の4回戦、盛岡四高戦は佐々木が先発して2-2のまま延長戦となった。4-2で大船渡が勝ったが、佐々木は延長12回、194球を投げることになった。22日の準々決勝の久慈高戦は2番手、3番手の投手が投げて延長11回6-4で辛勝した。24日の準決勝の一関戦では佐々木が先発し129球で完封した。
翌25日の決勝は大谷翔平や菊池雄星(現ブルージェイズ)の母校である花巻東との対戦だった。
決勝戦でエースが登板回避し敗退、非難殺到
大船渡高の國保陽平監督は、佐々木朗希をマウンドに上げなかった。「私が投げさせないと判断しました。痛みとかはないが、筋肉のはりがある。故障を防ぐためで、今朝の練習で佐々木に伝えました」と語った。決勝戦で大船渡がマウンドに上げた柴田貴広、前川真斗の2投手は、花巻東打線から10安打を浴び、7つの四球を与え、大船渡は2-12で敗退した。
大会屈指の好投手を決勝戦のマウンドに上げずに敗退した大船渡高、國保監督には非難の声が殺到した。
TBS「サンデーモーニング」では「御意見番」張本勲が「前の日に129投げていますがだいたい予選で4回しか投げてないんですよ。合計450(実際は435球)くらいしか投げてない。将来を考えたら投げさせたほうがいい。苦しいときの投球を体で覚えて大成した投手がいくらでもいる。楽させちゃだめ」と語った。
同じくベテラン解説者の廣岡達朗は「甲子園は夢だ。球児だけではない。選手の親兄弟、地元の夢がかかっている。その夢にあと一歩のところまでたどり着きながらチャンスを手放した。これ以上投げさせたら故障するかもしれない?故障というのは、投げ方が悪いか、登板過多でアフターケアができていない場合に生じる。投げ方が悪かったら160キロなど投げられない」と批判した。
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