深刻な「子どもの野球離れ」大人が引き起こす事情

問題山積の少年野球界に対する有識者4人の視点

問題山積の少年野球界はどのように変わっていくのか(写真:筆者撮影)

新型コロナ禍はいつ明けるのか? オミクロン株の感染拡大によって2022年の視界も不明瞭になってきつつある。そんな中、野球界は競技人口の減少など長期的な低迷傾向が続いている。

筆者は昨年暮れに、野球界、とりわけ少年野球の将来に強い危機感を抱く4人の野球人に話を聞いた。

少年野球が危機的状況にあるワケ

「高校野球は2015年あたりから新入部員が激減し、毎年1万人くらい新入部員が減っていた時期があります。中学軟式野球を主宰する中体連も50%減。もちろん学童野球も神奈川県では7年前に2000チームあったのが約500チームに。これは全国的な傾向です」

慶應義塾高校前監督の上田誠氏(写真:筆者撮影)

こう語るのは慶應義塾高校前監督の上田誠氏だ。上田氏は1991年に慶應義塾高校野球部監督に就任。母校を43年ぶりに甲子園に出場させた名将だが、アメリカ留学を経て子ども本位の野球指導の必要性を痛感した経験があり、『エンジョイ・ベースボール』という著書でも知られる。今は学童野球や少年野球の指導も行い、その現状に警鐘を鳴らしている。

「学童野球・中体連・高野連は運命共同体です。わが国の野球の底辺を支える学童野球は今、危機的状況にあります。この危機的現状を作っているのは、①試合過多(1年間に200試合以上しているチームがあり、ローカル大会への規制がない)②スポーツ障害の増加(小学生でトミージョン手術もあり、スポーツ医学の知識が指導者に乏しい)③指導者の旧態依然とした指導(罵声や長時間練習)④野球用具の高騰(ビヨンドマックスのバットが約4万円。他競技の2~3倍の費用)⑤お茶当番などの保護者の関わり方が時代遅れ⑥勝利至上主義(すべてトーナメント、同じ選手ばかりが出場する)⑦他競技の上手な振興策(サッカーやバスケット、バドミントン)に遠く及ばない、など原因は数えきれません。

この学童野球を仕切る全日本軟式野球連盟は他の野球団体同様、実働部隊と資金の両面で充実しているとは言えません。そして全国の1万1000以上の支部が中央からのガバナンスが利いた状態で学童野球を運営しているとは言い難い、というのが実態です。球数制限・年間試合数・練習時間・シーズンオフ・子どもに合ったルール改正などやるべきことはたくさんありますが、まずは協議・決定・実行のプロセスの整備が求められる、それが現状ではないでしょうか」

高校野球やプロ野球は相変わらず世間の注目を集めるが、その足元である少年野球は競技人口が減少し、競技の環境も悪化している。しかし、それを解決すべき大人は努力はしているものの十分とは言えず、しかもまとまっていないのだ。

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