神戸市でこのほど開催された日本整形外科スポーツ医学会と日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会の合同学会で、「高校野球球数制限はどうあるべきか?何をすべきか?」というパネルディスカッションが行われ、2019年の「球数制限」問題の際に医療サイドにおけるオピニオンリーダーとなった整形外科医と、2021年から巨人のコーチとして復帰する桑田真澄氏が議論を戦わせた。
導入から1年の「球数制限」を検証
「高校球児の投球数」に関する議論が持ち上がったのは、2018年夏の甲子園で金足農の吉田輝星(現日本ハム)が6試合すべてに先発し、5完投を含む881球を投げたことがきっかけだ。この年12月に新潟県高野連が翌2019年からの「1試合100球以内」という「球数制限」の導入を発表したことで、日本高野連が動かざるをえなくなった。
日本高野連は新潟県の決定を「時期尚早」と退けるとともに、2019年4月に学者、野球指導者、整形外科医、弁護士などからなる「投手の障害予防に関する有識者会議」を設置した。有識者会議は4回の会合を経て2019年11月に
- ・1人当たり1週間で500球の球数制限
- ・公式戦での3連戦の禁止
- ・週1日以上の完全休養日の導入
- ・積極的な複数投手の育成の促進
などの提言を行った。「球数制限」については違反者の罰則規定なしとし、3年間の試行期間を設けることになった。「1週間で500球」という「球数制限」は、実質的な「現状追認」にすぎないという批判がある一方で、日本高野連が「球数制限」に踏み込んだことを評価する意見もあった。
2020年はコロナ禍で、春夏の甲子園がなく、高校野球も大幅に活動が制限されたが、このパネルディスカッションは、導入から1年が経過して、改めて「球数制限」について検証するという試みだ。
まず4人の演者が、発表を行った。
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