筆者は、近所の学校のグラウンドや、町の軟式野球場で行われている小学生の野球の試合を時折、観に行く。小学生の野球競技人口は激減しているので最近、試合数はかなり減っている印象がある。
試合前の練習を見れば、そのチームが強いか弱いかはすぐにわかる。弱いチームはキャッチボールやノックでもボールが手につかないし、低学年と思しき小さな子も参加している。女子選手がいるのは最近では当たり前で、女子のほうが上手なことも多い。
弱いチームを「足でかき回す」戦い方
試合が始まると、強いチームはすぐに出塁する。出塁すると、走者は監督の「いけ!」の指示でどんどん走る。捕手は二塁に送球するが、アウトになることはない。それどころか二塁手が後逸して走者がそのまま帰ってくることもある。
投手は走者が出ると、ただでさえも悪い制球がさらに悪くなり、歩かせることも多い。ゴロを打たせても野手がちゃんと捕球できず、どんどん走者が塁にたまり、点が入っていく。こういう状況でも監督は塁さえ空いていれば「走れ」と指示をする。足でかき回せば野手陣はさらに浮足立つ。強いチームはこういう感じで初回から大量点を上げ、早々にコールド勝ちを狙うのだ。
昔からこういうシーンはよく見られた。スポーツは強いチームが勝つのだから当たり前のように思うかもしれないが、それにしても弱いほうのチームの子はたまらないだろうなと思う。延々と守りの時間が続いて、攻撃の時間はあっという間に終わる。そして試合もあっという間に終わる。
日本の少年野球指導者は永年、こういう野球をしてきた。弱いチームとみると、とにかく走って撹乱し、エラーを誘う。きついヤジも平気で飛ばす。そういう形で、早々に勝負を決してきたのだ。
少年野球チームの減少とともに、実力格差も目立つようになり、こうしたワンサイドゲームが増えている。
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