7月18日、大谷翔平がオールスター後初めてホームランを打って、ほっと胸をなでおろしたファンは多いのではないか。過酷なホームランダービーでは大谷は「疲れた」を連発していた。後半戦も前半と同じように活躍できるか、気がもめるところだ。
2018年にMLBに移籍したときも、日本は大谷の話題でもちきりとなった。しかしそれは野球ファンを中心としたものであり、期間も短かった。今回は、野球にあまり関心がない人も含めた日本全国の人を熱狂させている。しかもその熱狂が開幕から4カ月以上も続いている。
それはもちろん考えられないような成績を大谷が上げ続けているからだが、それに加えて「東京五輪にまったく関係がない」ことも大きいだろう。MLBは五輪にノータッチなのだ。多くの日本人はアスリートへの共感は示しつつも、パンデミック下で行われる東京五輪については複雑な思いを抱かざるをえない。
しかし、大谷はコロナ禍から脱しつつあるアメリカで、天衣無縫の活躍をしている。日本人にとって、ひととき「日本の現状」を忘れさせてくれる存在でもあるのだ。
さらに言えば、大谷の話題にはほとんど「ノイズが伴わない」ことも大きい。野球だけでなく、プライベートの話題も含めて、ネガティブな情報がほとんどない。どこをどう切っても彼は純真で、さわやかで、しかもスーパースターだ。その純度の高さはメディアにも安心感を抱かせるし、スポーツをあまり知らない人の好感度も上げてくれる。
大谷翔平が愛される理由は?
大谷のこうしたキャラクターは、どんなところからきているのか? 筆者は5つのポイントがあると思う。
よく知られているように、大谷は花巻東高1年のときに、佐々木洋監督の指導で「マンダラチャート」を作成している。最終目標を中央に置き、それを達成するためにやるべきことを80の項目に分けて記入するというものだ。これ自体は別段珍しいものではない。野球指導者だけでなく、塾講師や音楽指導者なども子どもに作成させる。
驚くのは大谷はチャートの真ん中に書いた「ドラフト1位で8球団から指名される」という目標に向けて、他の80の「やるべきこと」をほぼすべて実行したのだ。切れ、スピード、変化球、コントロールなどの野球の技術だけでなく、体づくり、メンタル、人間性、運(を呼び込む)まで、自分で決めたことをやりとげたのだ。一度決めたことはやり抜く。ぶれない。この心身の強靭さが第一に挙げられるだろう。
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