深刻な「子どもの野球離れ」大人が引き起こす事情 問題山積の少年野球界に対する有識者4人の視点

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東京農業大学の勝亦陽一准教授(写真:筆者撮影)

「少年期では、スポーツに参加し、楽しむ権利は平等であるべきです。しかしながら、少年野球の現場では、背が高く、早熟で、競技を早期に開始した選手が試合に多く出場し、投手や捕手などの重要なポジションを担っています。

また、同学年の中でも相対的に成長が遅い早生まれ(1~3月生まれ)の野球選手は、試合に出場する機会が少ない、野球から離脱する割合が高いなど、不利な状況にあります。この背景には、いわゆる勝利至上主義、『今』ファーストがあります。一方で、選手の潜在能力は少年期にはわからず、高校生以降になって開花する選手もいます。

野球に関わる大人の多くは、数多くの競技の中から野球を選択してくれた選手に、野球の楽しさを存分に味わってもらいたいと思っています。野球だけでなく、スポーツ界における『今』ファーストに起因した課題を解決するには、『選手の将来ファースト』の普及が必要です」

アマチュア球界の指導スタイルの問題点

野球をビジネスとする立場からも、問題提起の声が上がっている。高性能弾道測定器「トラックマン」を日本野球に紹介する星川太輔氏だ。星川氏は2009年WBC日本代表チームアナリストなどを経て「トラックマン」の日本での野球部門の責任者を務める。現在「トラックマン」はNPB11球団が導入しているほか、社会人、大学、さらには高校野球まで導入が進んでいる。

星川太輔氏(写真:筆者撮影)

星川氏はトラックマンのプレゼンテーションを通じて多くの野球指導者と意見交換したが、特にアマチュア球界全体の旧弊さでは、現代の社会が求める人材を輩出しにくい環境にあることを深刻な問題と捉えている。

「僕が感じている一番大きな課題は、現在の(従来もそうですが)指導スタイルにあります。現代の社会が求めている自ら考えて判断して行動できる人材と、野球の指導の現場が大きく乖離しているということです。そこに強い危機感を感じています。

いまはVUCAの時代(「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」)と言われます。オックスフォード大学のオズボーン教授が言う2030年に必要なスキルの上位10は以下となっています。

1. 戦略的学習力 2. 心理学 3. 指導力 4. 社会的洞察力 5. 社会学・人類学 6. 教育学 7. 協調性 8. 独創性 9. 発想の豊かさ 10. アクティブラーニング

今の野球界の上意下達型の指導方法で、これらを身につけVUCAの時代に子どもたちが生き残り、世界で戦うことができるでしょうか?」

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