あまり大きな扱いではなかったが、CNNのある記事が、静かな反響を呼んでいる。
『106対0の勝利は「スポーツマンシップ欠如」、米高校アメフト試合で校長謝罪』
記事によると、モーニングサイド高校とイングルウッド高校のアメリカンフットボールの試合で、イングルウッド高校がモーニングサイド高校に106-0という大差で勝利。しかしイングルウッド高校のデビー・テート校長は「スポーツマンシップ、もしくは高潔さを持った振る舞いをしなかった」と謝罪した。
とくに、スコアが104-0になってから、記録を更新するためにヘッドコーチが「2ポイントコンバージョン」を選択したことが問題視された。これはタッチダウンの後にキックで1点を取りに行くところを、プレーを選択して2点を取りに行くというものだ。2ポイントコンバージョンは、接戦時に勝越しを狙って選択するギャンブル的なプレーだが、それをこの大差で行ったことが非難されたのだ。
大差の試合で負けたほうが謝る日本の風潮
日本でも甲子園の予選などで、点数に極端な差がつくことがある。1998年7月18日の青森大会2回戦。深浦—東奥義塾は初回の39得点を皮切りに、コールドゲームが成立する7回まで122-0という大差になった。
「そこまでやり込める必要があったのか」という声が上がった一方で、深浦の選手は「疲れ果てるまで懸命にやってくれた東奥義塾の選手を悪く言う人もいて、申し訳ないとすら思う」とコメントしている。
この例でもわかるように、日本ではこうした大差の試合のときに弱いほうのチームが「申し訳ない」と頭を下げることが多い。「こんなに弱いのに相手をさせて申し訳ない」「練習にもならないレベルの試合で時間を使わせて申し訳ない」といった具合だ。
強いほうから見れば「相手が弱くても、手を抜くのは失礼になる」から「最後まで真剣勝負をしたまで」ということになる。こうした試合では気まずい空気が流れる。後味もよくない。
スポーツマンシップに照らして、この問題は、どう考えるべきなのだろうか。『スポーツマンシップバイブル』(東洋館出版社刊)の著者で、日本スポーツマンシップ協会代表理事、千葉商科大サービス創造学部准教授の中村聡宏氏に、聞いた。
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