高校野球リーグ戦「試合後に交流会」を開くワケ ラグビーの「ノーサイド」に倣う大阪の取り組み

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車座になって話し合う選手たち(写真:香里丘高校)

高校野球のリーグ戦「Liga Futura」が、今年から「Liga Agesiva」と名前を改め、全国で展開することになったことは『高校野球で脱「勝利至上主義」のリーグが広がる訳』で紹介した。その後、さらに参加校が増え、最終的には14都府県の80校が12のリーグで試合を行った。

最初にリーグ戦を始めた大阪は、7年目の今年、他の地方に先駆けて新たな試みをいくつか行った。高校野球としては他に類を見ないユニークな取り組みによって、大きな成果を上げている。

従来のリーグ戦と何が違うのか

「Liga Agesiva」は、単なるリーグ戦ではなく、いくつかのルールを設けている。1つは「球数制限」、投手の肩ひじを守るために、アメリカの少年野球で導入されている「ピッチスマート」に準拠した「投球数」や「登板間隔」を設定している。

もう1つは「低反発バット」。甲子園などで導入されている高反発の金属バットは、打球が速すぎて危険なうえに、大学、社会人、プロ、独立リーグではほとんど使用されていないために、高校生が上のレベルで適応できず苦しむことになる。Liga Agresivaではアメリカで使用されるBBCOR仕様の金属バットか、木製バット、竹バットを使用する。

さらに「スポーツマンシップ」などの学び。選手や指導者はスポーツマンシップなど、スポーツ、野球をすることの本当の意義や、アスリートとして身に着けるべき知識、考え方を座学で学んでいる。コロナ禍になってからはオンラインセミナーが中心になった。

こうしたリーグの創設を最初に思い立ったのは、大阪府立香里丘高校の藤本祐貴野球部長など、大阪府の指導者たちだ。

香里丘高校の藤本野球部長(写真:筆者撮影)

「7年前、大阪の公立高校6校の指導者と野球指導者の阪長友仁さん(現NPO法人BBフューチャー理事長)で、野球人口減少や野球界の抱える問題点について話をしていました。阪長さんから前年始めた中学野球のリーグ戦(フューチャーズリーグ)が多くの成果を上げていると聞き、われわれもやってみようと決心しました。それまでも別のリーグ戦に参加していましたが、6校で新たなリーグを作ったんです」

藤本部長も言うように、高校野球のリーグ戦は以前から各地で行われていた。しかしそれは控え選手に出場機会を与えるのが主要な目的で、練習試合の域を出なかった。「Liga Agesiva」は、リーグ戦を通じて野球、スポーツへの理解を深め、選手の成長を目指している点が大きく異なっている。

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