運営する中で、いろいろな問題が出てきた。選手数が少ない高校は、投手など選手のやりくりが難しい。また、チーム間の実力格差の問題もある。さらに、後発で参加する高校の中には「Liga Agresiva」の理念を十分に理解していない学校もあった。私学と公立ではリーグ戦参加の意識に温度差がある場合もあった。藤本部長ら幹部は、話し合いを重ねて1つずつこれらの問題を解決していった。
そのうえで、大阪リーグ独自のルールも導入した。大阪では予選リーグと決勝トーナメントを行っているが、予選リーグの試合では6回以降、状況設定をして試合を実施。今年でいえば6回は一死一塁、7回は一死一二塁、8回は一死一三塁、9回は一死満塁から試合を開始する。
低反発バットによって投手戦が多くなったために点を取りやすい状況設定を導入したという面もあるが、同時に選手に実戦で役立つ守備、打撃を経験してもらいたいという思いもある。これは、「選手に実戦の場で考える機会を与える」と指導者に好評だ。
さらに今季からリーグを実力で「Excite League」、「Advance League」の2リーグに分けた。高野連主催の公式戦とリーグ戦の実績に基づいてチーム分けをしたのだ。実力差がありすぎると強いチームも、弱いチームも経験値が上がらないからだ。これによって好ゲームが増えて参加者にも好評だ。今後は成績次第で入れ替えることも考えている。
打撃や投球のデータをアプリで集計
リーグ戦の意義の1つに「個人記録」がある。打撃、投球のデータを集計することで、選手たちは自分のプレーについて客観的に知ることができる。ただ、これまで個人成績は、各校のマネジャーが集計し、それに基づいてリーグ戦終了後に各部門のトップを表彰していた。大変な手間、時間がかかっていた。
大阪のリーグでは今年から「Easy Score」というアプリを導入した。スマホの画面から試合状況を入力すれば、「一球速報.com」にオンタイムでアップロードされる。リーグ戦開始前に、オンラインで講習会が行われ、参加校の指導者、選手、マネジャーが受講した。
実戦ではどちらかのチームのマネジャーが入力を担当するが、あらかじめ登録したメンバーでオーダーを組み、1球ごとにボール、ストライクを入力、試合経過もスマホ上で指一本でできる。当初はいろいろマイナートラブルもあったが、慣れればスコアをつけるよりもはるかに簡単だ。
リーグ戦ではライバルチームの試合展開をスマホで確認したり、首位打者争いをしている選手の1打席ごとの結果を確かめるなど、まるでプロ野球のような情報把握が可能になった。打率、防御率などのランキングも即時に出てくる。このアプリの導入で、リーグ戦全体を俯瞰したり、試合の傾向を把握することもできるようになった。
「Easy Score」の導入は無料。「リーグ戦を楽しみにしてくださる野球ファンもいるのですが、そういう方が『一球速報.com』で試合経過を見てくださるようになりました」と藤本部長は語る。
さらに大阪リーグでは今年から「アフターマッチファンクション」(試合後の交流会)も導入した。
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