「小学生スポーツ」の全国大会に見直しが必要な訳 本当に子供のため?大人の自己満足のため?

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筆者は小学校低学年や未就学児の野球教室の取材をすることが多いが、柔らかいボールを投げるようなレベルでも、すぐにまっすぐ投げることができる子がいる。プラスチックバットで鋭い打球を飛ばす子がいる。持って生まれた「才能」「センス」の差を感じる。だからと言っていきなり大人と同じ練習をさせるのは危険だ。

未発達の子供が過度の運動を繰り返し行うと肩やひじ、腰に障害を負う。時にはその障害が大人になっても残る可能性もあるのだ。

一戦必勝のトーナメントの功罪

試合日程の関係から、小学校スポーツの全国大会は、トーナメントで行われることが多い。一戦必勝の勝負を勝ち抜くため、子供に「汚い手を使ってでも勝て」という指導者も出てくる。過熱して暴力、パワハラに走る指導者もいる。そういう指導をされて「スポーツが楽しくない」「中学では別のことをやりたい」という子供も出てくるのだ。

出場できる選手ばかりではなく控えのまま終わる選手もいます。写真はイメージ(筆者撮影)

一戦必勝のトーナメントの場合、すべての試合でベストメンバーを組むことが求められる。控えの選手の出場機会が限定される中で、大会中一度も出場機会がなく、声援を送るだけの子供が出てくる。

控え選手で終わった子供も、スポーツをやめてしまうことがある。

柔道の全国大会では、小学生に「減量」を強制した指導者がいたようだが、学童野球では逆に体を大きくするために、巨大な弁当を完食させる指導者もいる。小学生の段階での「勝利至上主義」は子供の心身に大きな負荷をかけてしまうのだ。

「本当なら親に甘えたい年頃ですが、そんな頃から一流の指導者の厳しい指導を受けて忍耐力をつけるのは大事だと思います。厳しい練習に耐えること、我慢をすることで、子供がぐんと成長します。それから仲間と共に勝利のために力を合わせることを経験することで、社会人になってから、誰からも信頼される大人になるんです」

この言葉は、何人もの少年スポーツ指導者から聞いた。一見、もっともなように思えるが、「目上の言うことに忠実で、周囲との協調性がある」という人間像は、個性、多様性を重視すべき今後の日本では、すでに時代遅れではないか、と思ってしまう。

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