コロナ禍で「棚ぼたイノベーター」となったZoom 「イノベーションは技術革新ではない」意外な訳

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ここで1つ、私は皆さんに問いたい。イノベーティブな発明だったセグウェイは、はたしてイノベーションだったのだろうか。「セグウェイのブランドは人々の暮らしにインパクトをもたらした」というメッセージは、真実だろうか。

セグウェイは偉大な発明(インベンション)だったが、世の中を変えるイノベーションにはなりえなかったというのが正解であろう。

Zoomに革新的な技術優位はあったのか

次に最近の事例として、Zoomについて考えてみたい。Zoomとは、オンライン会議ツールの代表格であり、ビジネスパーソンであれば一度と言わず利用したことがあるだろう。

オンライン上のセミナーであるウェビナーや、大学の講義等でも日常的に使われており、今やビジネスにとどまらず、なくてはならないサービスである。コロナ禍で、教え子の1人が60代の自分の母親に孫の様子を見せようと利用可能なコミュニケーションツールについて尋ねたところ、当たり前にZoomが使えると言われ驚いたという。オンライン会議とは無縁の層にまで広く浸透している様子がうかがえる。

Zoomがここまで日常に浸透した背景には、新型コロナウイルスの影響がある。コロナ禍で人々は在宅を余儀なくされ、ビジネスも日常もあらゆる場面でのリアルなつながりが分断された。そうした人々をつないだのがZoomである。

今やZoomが実現させた在宅勤務の浸透は、人々に郊外への転居を促し、さらには企業が遠隔地や海外に住む人材を受け入れるような現象にまで発展している。人々を意識レベルだけでなく、行動レベルまで変えてしまった。短期間で世の中を一変したZoomを、イノベーションと呼ぶことに異論はないだろう。

では、Zoomはイノベーティブな発明だったのだろうか。以前から使われていたSkypeにくらべて、格段に優れた機能があったとは思えない。加えてグーグル(アルファベット)やマイクロソフト、フェイスブック(メタ)等のテック企業が相次いで同様のサービスを展開したことからも、革新的な技術優位があったとは想定しづらい。

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