イスラエルに注目する世界、取り残される日本

私たちは「中東のシリコンバレー」を知らない

コロナ禍による世界的混乱の中で、日本人にいまこそ必要な思考や発想のヒントが「イスラエル」にはあるという(写真:atakan/iStock)
日本人はどうして傑出した人間を受け入れられないのか。イスラエルでは、ずば抜けた技術や人材がつねに輩出されている。その秘密を文化的、歴史的背景にまで迫って考えた新井均氏の『世界のエリートはなぜ「イスラエル」に注目するのか』が、コロナ禍による世界的混乱の中で、日本人にいまこそ必要な思考や発想、欠けている資質を身に付けていくための書として重要であるかを、技術経営の専門家が解説する。

スーパーコンピューター「富岳」の知られざる快挙

6月23日、理化学研究所(理研)は記者会見を開き、理研と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が世界一に認定されたことを発表した。

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記者会見の前日、ICS2020というスーパーコンピューターの国際会議で「富岳」が世界ランク1位と認定され、それを受けての発表であった。「京」以来実に9年ぶりの快挙である。基本的な計算性能を競う部門では、2位に2.8倍もの差をつけたというからぶっちぎりの1位だ。

かつて、民主党政権時代の事業仕分けで、蓮舫議員から「1位でなければダメなのか」と詰め寄られたスーパーコンピューターである。当時、あまりに予想外の質問で冷静さを欠いたのか、さすがに優秀な技術者たちも「そういう民主党も1位になったから政権がとれたのではないですか」と返す余裕はなかったようだ。

一方で、蓮舫議員が提示した問いにも一面の真理があった。単に1位をとればそれでよいのか、スピード競争で勝っても役に立たなければ意味がないのではないか、逆に2位でも役に立てばそれでいいのではないかという真意があったことと思う。

それはそれで真っ当な質問であろう。スーパーコンピューターの性能競争は応用範囲の狭い特定のアルゴリズムで競われる。極端なことを言えば、役に立つかどうかよりも、ひたすらアルゴリズムにチューンアップすれば1位を取ることはできる。しかし、多額の税金を開発費として投じる以上、投資対効果が問われるのもやむをえない。もちろんリターンの指標が必ずしも売上高とは限らないのは言うまでもない。

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