箱根を制した青山学院・原監督の「仕事語録」

「僕は陸上の人というより、ビジネスマン」

大躍進した青山学院大を指揮する原監督の流儀とは?(写真:アフロスポーツ)

アスリートの思考法などをビジネスにつなげようと考えている人は少なくない。その逆はどうだろうか。ビジネスの手法をスポーツ界で実践した人がいる。正月の箱根駅伝で青山学院大を初優勝に導いた原晋監督だ。

すでに多くのメディアが伝えているとおり、彼は非常にユニーク。なにしろ、今回の箱根駅伝は「ワクワク大作戦」という戦術(?)で挑んだくらいだからだ。

箱根駅伝の総合優勝を決めた後、テレビインタビューの合間に、「トップを走ると力を発揮するもんだね。いや強いわ」と筆者に話しかけてきた。その言葉はまるで他人事だった。ちなみに往路のゴールでも原監督は選手たちにこんな言葉をかけている。「君たちは本当に強いな。すごい」と。部下の手柄をあたかも自分がやったかのように話す腹黒い上司はいても、部下の活躍をこれほど素直に評価できる人は少ないだろう。

青山学院大は“新・山の神”こと神野大地の爆走もあり、往路で2位に4分59秒差をつけた。復路の5人も快走して、総合タイムは10時間49分27秒。従来の大会記録を2分以上も上回ると、後続には平成以降で最大となる10分50秒という大差をつけた。10区間で5つの区間賞を奪い、3区以降のすべての区間で大学記録を上回った。

創部96年目と青山学院大陸上部の歴史は古いが、今回が7年連続20回目の出場だった。本格強化は原監督が就任した2004年。2009年の箱根駅伝で33年ぶりの出場を果たすと、翌年には41年ぶりにシード権をゲットした。

そこから5年連続でシード権を守り(過去最高は5位)、今季は全日本大学駅伝で過去最高の3位に食い込んだ。箱根駅伝では、上位10名の1万平均タイム2位(28分48秒)のイケイケの大学に“新・山の神”が降臨。その快走劇はフレッシュグリーンの襷のように、新春の箱根路にさわやかな風を吹き込んだ。

ビジネスマンとして通用する人間を育てたい

筆者は青山学院大が箱根駅伝に復帰する前にも原監督を取材している。初めてのインタビューは、原監督が就任2年目の2005年だ。そのとき印象的だったのが、「ビジネスマンとしても通用する人間を育てたい」と熱っぽく語っていたことだ。

当時の青山学院大は本戦出場から遠ざかっていただけでなく、ほかの有力大学と比べて原監督の知名度も低かった。それでも、原監督はビジネスマン時代に培ったスキルを盛り込んだ指導で、アオガクに魔法をかけようと必死だった。

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