赤字続きの自動車保険、高齢者の値上げは「必然」

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高齢ドライバーを自動車保険料の“値上げ”が直撃する--。

自動車損害賠償責任(自賠責)保険審議会は1月20日、強制保険である「自賠責保険」の保険料を引き上げることを決定した。また任意保険の「自動車保険」も、大手損害保険各社が年齢層別に料率区分を設定し、値上げする方針だ。この二重の値上げで特に影響を受けるのが、高齢者である。

法律で加入が義務づけられている自賠責保険は、国が運営し、年令を問わず保険料は一律だ。が、予想外の事故率上昇で損害率が悪化。保険料収入を上回る保険金支払いで、保険料を引き上げざるをえない状況になっている。

現在、自家用乗用車(2年契約)で2万2470円の料金を、2011年度に2万4950円、さらに13年度には2万8000~2万9000円へ再値上げする方向である。引き上げ幅は合計3割近い。

民間の自動車保険についても同様だ。先陣を切るのが、4月から値上げを計画する損保ジャパン。7月に東京海上日動火災保険、10月からは三井住友海上火災保険などが続く。大手は過去2~3年、小幅ながら値上げを実施してきたが、損害率の上昇には追いついていない。

高齢化で事故率高まる

損害率が上昇している背景はいくつか考えられる。若者の車離れによる加入減や低価格小型車への乗り換えによる、保険料収入の伸び悩み。土日の高速道路料金1000円均一に伴う休日ドライバーの増加も、交通事故件数を押し上げたとされる。

そして何より、事故率の高い高齢者層の全体に占める割合が年々高まってきたことが、大きな要因として挙げられている。

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