赤字続きの自動車保険、高齢者の値上げは「必然」
日本損害保険協会は04年7月、「シニアドライバー事故の現状予測」を発表。高齢ドライバーの事故増に警鐘を鳴らしていたが、10年6月に損害保険料率算定機構が公表した参考純率(保険料率改定の基準になる指標)が、業界にとって新たな転機となる。
従来の参考純率では一くくりとなっていた「26歳以上」の区分に対し、「30歳未満・30歳以上40歳未満」など10歳ごとに細分化。事故率が高い高齢者ほど、値上げ率が高くなる参考値も公表した。これを受け、損保各社も年齢区分を細分化した値上げを検討し始めた、というわけだ。
損保ジャパンによれば、4月からの全体の引き上げ幅は平均1・5%。ただし70歳以上に限ると、対人・対物無制限の標準的な条件では、現行の8万8670円から9万5820円へ、7150円も値上げ(8%増)される。60~69歳は3000円値上げ(3%増)。30~39歳の場合は、わずか530円の値上げ(0・5%増)にとどまる。
実は主力が赤字の損保
損保会社の経営指標の一つに、コンバインドレシオというものがある。これは分母に保険料収入、分子に支払保険金と事業費の合計で、その比率を表したもので、100%超は赤字を意味する。
損保各社のコンバインドレシオはここ2~3年、続けて100%を超えている。損保業界の保険収入の約半分は自動車保険事業だが、その柱が赤字というのが現状なのだ。