親の過干渉が、子どもをSNSに走らせる?

「SNSが子どもを変えた」という幻想

ダナ・ボイド(danah boyd)
アメリカにおける若者とインターネット研究の第一人者。マイクロソフト・リサーチ・シニア研究員。ニューヨーク大学助教。専門はメディア、文化、コミュニケーション。ハーバード大学フェロー。ダナ・ボイド氏HP
 気鋭の社会学者で、Fortune誌で「インターネット研究における新星」と称される、ダナ・ボイド氏。新刊の『つながりっぱなしの日常を生きる:(原題 It’s Complicated)』(草思社)が話題を呼んでいる。
 SNSは米国の若者の何を変え、何を変えなかったのか。若者がネット中毒のように見えるのはなぜか。多数の10代へのインタビューを基に、米国社会に深く根差す、大人にとっての不都合な真実を明らかにする。

――日本でも若者のソーシャル・メディア(以下、SNS)への熱中ぶりが問題視されることがあります。その点でも米国の事例は大変興味深いのですが、今回、ご著書を読んで、米国の子どもたちがSNSをどう利用しているか、よくわかりました。

SNSをはじめとするテクノロジーのせいでいじめが増えたとか、注意力が低下した、といった、本書で示されるアメリカの親たちの懸念は、日本にも当てはまりますから。インターネット中毒の心配も、盛んに議論されています。

結論から言えば、携帯電話やコンピュータに「中毒状態」とされる10代のほとんどは、物理的に集まることが過度に制限されている米国社会において、友達とつながった状態でいるために、そういう機器を利用しているだけなのです。

本書ではフレンドスターやマイスペースといった、初期のSNSサイトに加え、フェイスブックやインスタグラムなど、最近のサービスにも触れています。私は、これらのサービスが予想を超えて人気を集めるようになったのは、新しい人に出会うためだけではなく、友達同士でつながるためのプラットフォームを提供したからだ、と認識しています。

興味深い例を挙げてみましょう。2010年秋に、テネシー州ナッシュヴィルの高校フットボール試合のスタンドで見た光景です。この時点で米国の高校生の80%は携帯電話を持っていたのですが、通話目的で使うことはまれでした。

フットボールスタンドで私が見た高校生たちは、電話をかけてはおらず、写真を撮ったり、大勢の観客の中でお互いを見つけるために熱心にメールを打ったりしていました。そして、無事に友達に会えると、メールのやり取りは大抵、止まりました。

一方、観客席にいる親たちのほうは、自分が持っている携帯電話などの機器に注意を向けていました。多くの大人たちは熱心に手元の機器を見つめ、フットボールの試合が山場に差しかかっても、顔を上げようとはしませんでした。そして高校生とは異なり、大人たちはほかの人々と一緒に機器を見たり、写真撮影したりすることも、なかったのです。

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