親の過干渉が、子どもをSNSに走らせる? 「SNSが子どもを変えた」という幻想

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――米国の読者からの反響はどんなものですか。

親たちはたくさんのことをおそれています。子どもがネット上で性犯罪など危険な目に遭うこと。中毒になるのではないか、子どもが得られるべき機会を得られないのではないか……といったことです。

 ダナ・ボイド氏の新刊『つながりっぱなしの日常を生きる:(原題 It’s Complicated)』(草思社)

本書に関する私の講演を聞いた後、あえて話しかけてくる人たちは、これまでと異なったものの見方を知って喜んでいることが多く、もっと知りたいと考えています。そして、そういう親たちに連れられてイベントに来た10代の子どもたちは、いつも私にお礼を言いながら、自分の親を指さして目を白黒させて見せます。

でも、一般的に言えば、多くの米国人は私の主張を受け入れるのに抵抗を覚えます。彼らは長年にわたり、多くの人からたくさんの恐ろしい話を聞いてきたため、異なる見方を受け入れるのは難しいのでしょう。私は子どもの安全に関する米国人の病的な心配、おそれを取り除くことは、まだできていませんが、それをある程度落ち着かせる助けになるようなことをしてきたつもりです。

――本書の原文(英語版)は単行本として販売されているだけでなく、あなたのウェブサイト上でPDFが公開されていますね。どうしてですか。

私は第一に研究者です。私は自分の人生を知識の探究に使うという特権を持つと同時に、得た知識をほかの人々に知らせる責任がある――そんなふうに自分の職業を位置づけています。だから私は本を売っておカネを稼ぐためではなく、伝えるために本を書いています。テクノロジーのおかげで、私の考えをより広く拡散することができる時代に、私は生きています。だから、そうすることが絶対に必要だと思います。

もちろん出版社の意向は理解できますし、尊重したいと思っています。幸い、私はイエール大学出版会という理解のある出版社から本を出しており、私がオンライン上で自分の本の内容を公開することに反対されたことは一度もありません。とても感謝しています。

私の本を読みたい人が誰でも読めるようにしたいですし、私の本を使って教育したい人が誰でも本を生徒にあげられるようにしたいですし、私の本を誰かと共有したい人が、簡単にそうできるようにしたいのです。

その結果、私はこの本をいろいろな形で入手可能にしました。オンラインでダウンロードもできるし、日本語にも翻訳されましたしね(笑顔)。


 

治部 れんげ ジャーナリスト

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じぶ れんげ / Renge Jibu

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。日経BP社、ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長、など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』1~3巻(汐文社)等。

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