介護・宅配で切り開く、ワタミ100年企業への道筋《新「本業」で稼ぐ》
ワタミのスタートは1984年。居酒屋チェーン「つぼ八」のフランチャイジー(加盟店)として、東京都杉並区高円寺で起業したのが始まりだ。創業者の渡邉美樹(現会長)は、「お客様の奴隷になる」という強烈なサービス精神を掲げ、繁盛店を多数作り上げた。やがてつぼ八のフランチャイズ契約を解除し、92年「和民」1号店を渋谷区笹塚に出店。居酒屋業態を核とした外食事業を軌道に乗せ、96年に店頭公開、2001年には海外へ出店した。
それから10年。ワタミの事業構造は、大きく変貌を遂げつつある。11年3月期は、祖業の国内外食事業の営業利益を、外食以外の事業の合計が初めて上回る。中でも存在感が大きいのが、介護と宅配弁当だ。一見、外食との関連性がわかりにくい両事業だが、“ワタミらしさ”を加えることで、今や同社にとって欠かせない成長エンジンとなっている。
買収を契機に本格参入 時流に乗る介護・宅配
目下、介護事業は最大の稼ぎ頭である。大阪の医療法人の経営権を引き継ぐ形で参入したのが04年。当時は訪問介護と看護が主体だったが、05年に神奈川県を地盤に有料老人ホームを運営する「アールの介護」を買収し、一気に規模を拡大した。10年度末の運営施設数は61となり、有料老人ホーム業界では、大手のベネッセホールディングス、メッセージと肩を並べる勢いを持っている。