介護・宅配で切り開く、ワタミ100年企業への道筋《新「本業」で稼ぐ》
年1回、全国1000店舗の居酒屋が集い、日頃の食事や接客内容などが採点される「居酒屋甲子園」。あるNPO法人が主催するこの10年大会に優勝したのは、夫婦で小さな店からスタートし、倒産の危機を何度も乗り越えながら戦ってきた店だった。涙ながらに発表する夫婦を見て、渡邉会長は「ワタミの社員とはハングリー精神が全然違う。ハングリー精神の欠如が、ふがいない結果につながっている」と感じたという。
テレビのレギュラー番組を4本抱えるなど、広告塔としての渡邉会長の存在感は増す一方。新規事業が収益柱に育ち、社員の中に「このままでも安定飛行は続けられる」という意識が生まれても不思議はない。
ワタミは「らしさ」を失いかけているのではないか。強い危機感を感じている渡邉は、会長職へ退いた後も05年から始めた「理念研修」と呼ぶ社員研修の講師を年36回、全国で務めている。年4回、各3時間に及ぶ研修には全社員が参加し、渡邉の話を聞き、ディスカッションする。1回当たり100万円の費用がかかるこの研修を続けている理由は一つ、「ワタミらしさ」を失わないためだ。
「100年続く企業になる」。渡邉の口ぐせだ。渡邉は月4回の役員会議には出ず、4人の取締役で意思決定がされている。新体制で6次産業というビジネスモデルを追求し、「ワタミらしさ」を継承できるのか。創業者が第一線を退いても永続的に成長できるのか。大きな挑戦が始まっている。=敬称略=
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(二階堂遼馬 =週刊東洋経済2011年1月8日号)
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