次の会社での面談で、前職の退職理由をどう伝えるかに悩まれていますが、「長時間労働が原因」で問題はないと思います。重要なのは、Yさんにとってなぜ「長時間労働」が問題となったのかを合理的に説明できるか否か、です。
さらに「長時間労働が原因」という、とらえようによってはネガティブに聞こえかねない理由に、いかにポジティブな要素を絡めて伝えることができるかが勝負だとお考えください。「もっと遊びたいし、長時間労働とかってマジ無理っす」という感じでは当然、相手に与える印象はよくないでしょう。
そうではなく、たとえば「成長の場である仕事において、同じ時間を費やすのであればよりダイレクトに、そしてより多くの成長を実感できるような職場で働きたい、そしてそれが将来的には会社のためにもなると思う」といったような伝え方のほうが、ポジティブな要素が入っているという意味で、相手によい印象を与えるでしょう。
もっと付け加えるならば、「私自身、まだ仕事を始めたばかりですので、日々の仕事での学びを大切にしつつ、自分自身の時間の使い方にも責任を持って、より有効な過ごし方をしたい」という前提で、「新人である以上は仕事に費やす時間は将来への投資時間だと思っています。であれば、同じ時間を費やすにしても、より多くのリターンが得られる仕事がしたいと思っています」といった流れもよいでしょう。
「遊ぶ時間などを確保したい → だから仕事に長時間取られるは嫌だ」という考えでは、楽をしたいとか、仕事の優先順位が低いことが相手に伝わります。
「仕事を通じて成長をしたい → したがって同じ時間を過ごすなら、より多くのリターン(成長)が得られる仕事に時間を費やしたい」と、仕事の優先順位が高いからこそ、仕事を通じての成長を真摯に考えているという姿勢を示すことができればベターです。
先ほど、私自身も長時間労働で血を吐いてまでやっていたと言いましたが、当時、実はストレスを感じていませんでした。なぜなら日々の成長を感じられる仕事でしたし、やっていることが非常に楽しかったからです。
推測ですが、長時間労働だとしても、その先に報われる何かを「自分自身で」つかみ取れる実感があるかが、耐えきれるかどうかの大きな分岐点だと思います。
「自分自身で」とあえて書いたのは、仕事は学校の勉強とは異なり、待っていれば誰かが導いてくれるという甘いものではなく、自分で切り開いていく必要があるからです。
念のため申し上げますが、上記はあくまでも例であり、事実を曲げて伝えるのはよくありませんので、実際にはYさんがどうお考えかによります。
が、一方で、一見、ネガティブに見えてしまう理由であったとしても、上記のようにポジティブな要素を入れて説明をする、その際に一般的にも合理性のある理由であれば、何も恐れることはないと理解していただけるのではないかと思います。Yさんご自身の考えを整理するとともに、退職理由のプラスアルファの部分を考えてみてください。
「好きだから」では志望動機が弱い
ただ、世の中には個々の状況を見ずに、「まずは3年やってみないとダメだろ」と、その昔、上司に言われたことをそのまま無邪気にリピートするだけの無責任な人がいるのも事実です。
そう考えると、退職理由の合理性を上記の例のとおり、固めるのも大切ですが、一方で、相談に記載されているだけの志望理由では弱いのではないか、と危惧しています。転職理由の王道のひとつは、「新しい何かに挑戦したい、そしてそれは現在の職場ではかなわない」というストーリーですが、その際には退職理由と同時に志望動機が「固い」ことが求められます。
少なくとも「自動車が好きだし、労働環境がよさそうだから」というだけでは熾烈な競争環境にある自動車業界に向けての志望動機としては決して強いとは思えません。たいへん失礼な言い方ではありますが、9カ月とはいえ社会人経験のある方の志望動機というよりは、職務経験のない学生さんの志望動機のように思えてしまいます。
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