出向先も自社もクビの危機、どうすれば? 慌ただしさに心地よさを感じて39歳に…

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いい大学に入り、いい会社に入っても、一生安泰の保証はない。これからの時代は、社会に出た後にどんな努力をするかで将来が決まる。この連載では、「学歴なし、コネなし、カネなし」で世の中を渡り歩いてきた安井元康・経営共創基盤(IGPI)プリンシパルが、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談に、本当に役立つ実践的なアドバイスをしていく。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

【キャリア相談 Vol.21】 10年勤めた出向先でお払い箱になりそうです
 39歳、男性、東京都内在住、子供が3人います。現在、社員数10人以下のIT系企業で正社員として所属しておりますが、規模400人ほどのクライアント企業に業務委託として出向し、終日業務を行っております。業務としては、出向先企業が取引している某テレビ局の携帯電話・スマートフォンサイトの企画ディレクションと運用です。多くの番組情報の更新に追われる毎日です。  
(写真:you_deacon / Imasia)
 出向して10年以上、家庭を犠牲にしつつ日々奮闘してきました。テレビ局の関係者、出向先との関係は良好で、私が更新、公開した記事が多くの人の目に留まったり、TV番組を見て興味を持たれた方がサイトに訪れてコンテンツを楽しんでいただくことに喜びを感じ、天職と思っていたときもありました。
 また、誰かに頼られることにやりがいを感じ、人の嫌がることを引き受ける、縁の下の力持ち役やサポート役、雑用を率先して行ってきました。後から入ってきた出向先の若い社員たちの相談を受けたり、経験をレクチャーしたりと父親のような役割をして、彼らが育っていくのを見守り、送り出してきました。
 しかし現在、この業界は、ガラケーからスマホへの移り変わりが激しく、また、お客様のコンテンツの楽しみ方が変わり、ビジネスとしての雲行きが怪しくなってきております。いつお払い箱になるか、また、自社に戻った場合、零細企業のため自分の食いぶちが稼げないのであれば、そのままクビになる危機を感じています。
 転職エージェントの方に相談しましたが、年齢の問題もあり、新サービスを作った実績や、部下を持ってマネジメントをした経験もなく、私のような一歩引いた考え方の人は難しいであろうという評価で、よい結果には結び付きませんでした。
 以前、出向先の役員から、出向先に移籍するようお誘いもありましたが、自社への義理もあり、お断りをしてしまいました。そのときとはビジネスの状況が変わり、入りこむ余地はないように思います。
 業績が悪くなってきた今、出向という立場、会社との業務委託契約があり、両者の利害関係が足かせで動けないまま、いつタガが外され崩れ落ちるか、自身の立ち位置と将来に不安を覚える毎日です。これまでは全身全霊をサイトに捧げていましたが、今となってはもう少し自分自身に時間を使い、できることを増やしておけばよかったな、キャリアを意識した動きをすればよかったかなと後悔しています。慌ただしさに心地よさを感じて、この年齢になってしまいました。遅ればせながらセミナーに出るなど、自身の糧になることを意識しています。
 以下、相談になります。
①自身の立ち位置を明確にし、しがらみを取り除く。活躍できる場を探すため、転職活動を再開する。
②案件を少しでも長く継続できるよう奮闘し、現状のまま出向先に居場所を求める。たとえ今の案件が終了しても、そのほかの案件でとどまらせてくれる可能性に懸ける。
③今の出向先に移籍できるように動く。
④自社に戻ったときに自身のアピールをし、居場所を確保する。
⑤起業を意識して人脈作りなどに動く。やりたいアイデアはあり、それに向けて宅建の資格の勉強も始めています。
 私としては今の状態が続くことを願っていますが、現状の流れのままでは暗い未来しか浮かびません。また、予算や外注との交渉、大きな提案などをどうにかしたくても、業務委託としての立場では壁が発生します。5つの選択肢のうち、どの動きがよいのか、そのほかに方策があるのか、アドバイスいただければと思います。よろしくお願いいたします。
E.M.

今後の選択肢が広がるものを選ぶ

日々の仕事に忙しくされている中で、今後の選択肢の整理までされているというところから、Eさんのまじめで几帳面なお人柄が伝わってきます。また、10年も資本関係のない他社へ出向されているということは、仕事ができるだけでなく、良好な人間関係を築ける方だとお見受けします。

そして、おっしゃるとおり、業界自体はスマホへの流れや消費者の嗜好、選択肢の多様化などによって非常に将来が見えにくいのでしょう。

そのような中で5つの選択肢を検討されていますが、結論から申し上げると、ご自身にとって今後の選択肢が広がりうるものを選ぶべし、となります。そして、それぞれの可能性を探るべく同時並行的に動くのがよいでしょう。可能性がそもそもないなら、選択肢として残しておくこともできませんので。

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