そうすると選択肢②、③は現実的ではありません。これまたストレートな言い方ですが、出向先からするとEさんは「その業務」において優秀な方以上でも以下でもありませんので、前提となるビジネスの状況が変わった今、③は現実的ではないでしょう。
さて、そうすると残るは3つの選択肢ですが、④はそちらの会社との関係や現在の状況によりますし、⑤も内容がわかりかねますが、おそらく未経験の分野でしょうから、どの程度の覚悟と準備をEさんがされているかがわかりませんので、不用意なことは言えません。
そのうえで申し上げますが、Eさんにとって今やるべきは、将来へ向けた選択肢がどうであれ、「今後の将来展望へ向けた準備」です。
自分の市場価値を把握しよう
目先の仕事を一生懸命されている方によくありがちなのが、ご自身の市場価値を把握していない、ということです。言い換えると、ご自身の持っている経験やスキルが、どの程度、価値のあるものなのかを客観的に把握しきれていないのです。
一時期、転職エージェントを通じた活動をされたとのことですが、まずこれは再開しましょう。実際に転職をする、しないは別としても、定期的に職歴書を記載して、ご自分の経験やスキルを棚卸しして、ほかの業界を知ることで、ご自身の労働市場における立ち位置や価値が客観的に見えてきます。何がEさんにとっての強み(アピールポイント)で、逆に足りないのは何かを客観的に知る契機となります。
そういった視点でご自身を把握しないかぎり、たとえば選択肢④の自社へ戻る際も交渉できないでしょう。「契約切れたから戻ってこい。次の仕事があるぞ」というのであれば、そこまで身構える必要はないかもしれませんが、そうであったとしても、ご自身の過去の10年間を総括する意味で、そして今後どんな分野に注力すべきかを見極める意味で、「転職活動を通じた自分を知る作業」は無駄ではないでしょう。
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