出向先も自社もクビの危機、どうすれば? 慌ただしさに心地よさを感じて39歳に…

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と、そうは言っても、できるかぎり選択肢を絞り、現実的な路線に注力すべく、冷静に考えてみましょう。

出向先から転職の誘いがあったとのことなので、Eさんは「その業務」での遂行能力は高いのだと思います。ただし、それが他社やほかの仕事へ横展開できるか否かを考慮すべきです。

他社から「即オファー」の経験やスキルではなかった

転職エージェントの方の対応はプロとして失格ですが、一方でエージェントを通じた転職活動でよい結果が出なかったという経験は、Eさんにとって非常に大きな示唆があると思います。

つまり、10年間、Eさんが身に付けてきた経験やスキルでは、他社にとって少なくとも「即オファー」を出すほどでない、喉から手が出るほど欲しいスキルや経験ではない可能性が高いという事実です。だからと言って、転職が無理という意味ではありません。

誤解しないでいただきたいのは、Eさんのせいだけではないということ。Eさんは「その業務」を完璧にこなしていたのだと思います。ただし、外注(出向)というステータスを、そもそもなぜ双方の会社が使うのかというと、期間と業務範囲(依頼者にとっては「やってほしいこと」=請負者にとっては「やること」)が限定されているからです。そして、それらが限定されているがゆえに、自社で固定費を抱えるよりも外部を活用したほうがベターという判断をするのです。

そのような中、以前、出向先から誘われたが今はないということは、おそらく出向先からすると、現在、Eさんがされているビジネスは、以前は息が長いはずだと思っていたものの、今はそのビジネス自体の寿命が見えているのでしょう。したがって、ビジネスモデルの転換なりをいろいろと考える中で、現在はEさんとは異なる経験とスキルを求めていると思われます。

いずれにせよ、Eさんとして考えなくてはいけないのは、10年間を通じて得た経験とスキルが、現在の環境における労働市場の中で大きな魅力となりにくい、そして業務や意思決定の範囲が限定されている中で、同じ仕事とポジションで継続すべきか否か、です。

出向先と出向元の関係によってEさんがコントロールできる要素が限られている中では、一般的には継続すべきではないでしょう。10年間を通じてできななかったことが、今後、数年でできる可能性は高くないと思いますからなおさらです。

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