体にちょっとした不調を感じたとき、病院に出掛けるかを迷うことはないだろうか。そんな場面で役立ちそうな新サービスの開発に、アメリカのグーグルが乗り出している。
グーグルが試験運用を始めたのは、医者が患者とビデオチャットで会話し、その場で簡単な健康アドバイスを行ったり、病院での詳しい検査を勧めたりするという仕組みのものだ。
この仕組みが実現すれば患者にとって便利であるだけでなく、医療を提供する側にも診療の効率化というメリットがありそうだ。夏野剛氏はこの取り組みを緊急医療の現場で用いられている「トリアージ(ケガの度合いを色がついたタグで示す選別手法)」に重ね、「今回のトライアル展開で、少なくとも意味があることかどうかを判断するための統計が取れるはず」と期待を語った。
なぜ日本ではIT化が進まない?
しかしこのような試験運用が、日本においてはまったく展開できないという。それは「厚生労働省という‟守旧派勢力の牙城”みたいな組織があるからだ」と夏野氏は指摘する。
現在、医療行為や処方薬の販売には、「対面による診療・販売」という原則が定められている。確かに医者は患者の状態を顔色などを含め総合的に判断する必要がある。とはいえ、「いまどきビデオでも顔色は判断できる。テクノロジーの進化を想定していない段階で作っている原則なのだろう。グーグルのようなサービスが出てくるのも許してほしいものだ」(夏野氏)。
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