日本の医療における「IT活用」はお先真っ暗 <動画>‟守旧派勢力"が叫ぶ対面の原則とは

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ただ、日本が今後このようなトライアルを許容する方向に動く可能性は、やはり高くないだろう。今年6月に施行された改正薬事法では、薬局で購入できる「大衆薬」の大半がネット販売解禁となったものの、同時に、より市場規模の大きい「処方薬」はネット販売禁止と明確に定められたのだ。

アメリカでは「テレメディスン」が普及するが……

これについて夏野氏は「お医者さんが一度診て必要だと判断した薬なのに、薬剤師まで対面で判断しなければならないことがあるのか。滅茶苦茶だ」と語る。

アメリカでは今回のグーグルの例以外にも、スマホアプリなどを用いた類似のサービスがいくつも生まれており、「テレメディスン(遠隔医療)」として新たな市場を築き始めている。そんな中にあっても「対面の原則」を重視する日本。夏野氏は「既得権益を守っているとしか思えない。日本の医療におけるIT活用は、先が真っ暗闇だ。誰か抜本的に考え直せる人、厚生労働大臣になってください」と嘆く。

 

 

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夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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