お金の不安から「するりと脱出する」一番の近道 何の才能も、元手も、地位もいらない方法

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だってですよ、例えば、ちょっと喉が渇いたな、コンビニでお茶でも買おうと思ったとする。しかし使い捨てのペットボトルを買うのはエコの目標に反する。となると、うーんと立ち止まる。で、買わずに出てくる。

例えば、古くなった鍋を買い換えようかなと思う。でもまだ使えるものをゴミにするのはエコの目標に反する。なので買わずに今のものを使うことにする――。

そうなんですよ。エコを達成しようとすればどうしたって「買わない」方向に決断が傾くのである。つまりは買わないことが目標達成につながり、目標を達成すればやっぱりウレシイ。人生は充実する。

こんなことを繰り返していると、否が応でも「買わない=幸せ」っていう小さなエクササイズを毎日積み重ねることになる。そのうち、「買う」ってことと「幸せ」とが徐々に切り離されてくる。お金がないと幸せになれないという鉄則が少しずつグラついてくる。

そうこうするうち、あなたはある日、ふと気づけばいつの間にやら自分の価値観が大きく変わっていることを認識することは間違いない。

お金を使わないことの中にもそれなりの幸せがあるんだと気づいた時、あなたはきっと、あれほどしつこく付きまとってきた「お金の不安」がどこか遠くにかすんで見えることに気づいてビックリするに違いない。

「クリエイティブ」で「オリジナル」

この方法がなんといっても素晴らしいのは、「お金を使わないこと=ガマン」という世界とは無縁のまま、買わない体験を前向きに積み重ねることができるところだ。

そもそも、何度も言うがお金を使わないことは本当は不幸でもなんでもないのに、それを「ガマン」と感じてしまうのは、例の「お金がなければ幸せになれない」という信心で凝り固まっているからである。

ここが変わらない限り、ガマンの節約は人生を楽しくない色に染めるだけで何の解決ももたらさない。お金を使わないことが、ガマンでなく「幸せ」になって初めて、人はお金の不安から逃れることができるのだ。

その入り口としての最強ツールが「エコな目標を掲げる」ことである。何事も体験とは強いもので、一度この体験をしてしまったらあなたはお金を使わない幸せを次々と発見する楽しみに取り憑かれることになるだろう。

なぜってそれは、お金を使うよりもずーっとずーっとクリエイティブでオリジナルな行為だから。そして人とは誰でも実はクリエイティブでオリジナルなことをするのが大好きなのだ。

子供の頃は、誰だって画用紙にわけのわからぬ絵を大得意になってのびのびと書いていたはずではないか。その根源的なわけのわからぬ欲求は、今だって誰の中にも活躍の場がないまま眠っているだけなのだ。

つまりはわれらはお金を安易に使うことで、人生の最もオイシイ楽しいところをせっせと失い続けているのかもしれませんぜ。

ってことで次回は、不肖私がこの「エコな目標」を掲げることで突然目を覚ましたわがとんでもないオリジナリティーに振り回され、次々と習慣化したフツーじゃないわがクリエイティブな暮らしぶりについていくつかご紹介したい。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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