前出の冷戦史の権威であるカソリック大学マイケル・キマゲ教授も、欧米がロシアに対処する方法として、「新たな種類の戦争」の可能性を明らかにするのとともに、「冷戦時の教訓にもある通り、忍耐をもち、ゆっくり動くことが重要である」と述べています。ロシアの軍事戦略研究家であるアダムスキー博士は、「プーチンは長年にわたって準備を行ってきた」と述べています。
「新たな種類の戦争」が長期にわたって展開される
したがって「今回の戦い」が政治・経済・社会・テクノロジーに与える影響を考えるにあたっても、仮にウクライナ侵攻自体は短期のうちに収束し、ロシアへの制裁も比較的に軽微なものにとどまったとしても、プーチンが仕掛けてきた「新たな種類の戦争」が長期にわたって展開されるという視点をもつことが必要なのではないかと思われます。
国家や企業の戦略分析において重要なPEST分析(政治・経済・社会・テクノロジー分析)については、したがって中長期的な視点から、
② 経済:ロシアへの制裁や「ESGとしてのロシア関連取引縮小」により経済を縮小させる方向に作用
③ 社会:地政学リスクの高まりによる不安、エネルギー価格高騰等による不安の増大
④ テクノロジー:安全保障と表裏一体であるテクノロジーにおいては中ロとの分断がさらに強まる
といったワーストケースシナリオも想定しておくべきであると思われます。
経済学で言う3大ショックである「需要ショック」「供給ショック」「金融ショック」については、「需要ショック」は社会不安や物価上昇等による消費減少、「供給ショック」はロシアや親ロシア国とのサプライチェーンの分断、「金融ショック」は「円高・株安・原油高」の“トリプルショック”に備えていくことが重要になってくると予想されます。
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