アメリカは「痛み覚悟」の経済制裁を発動できるか 中林美恵子・早大教授に聞く「ウクライナ危機」

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ホワイトハウスでロシアのウクライナ侵攻を厳しく非難し、新たな経済制裁を発表したアメリカのバイデン大統領(写真・Bloomberg)
ロシアが2月24日、ウクライナへの軍事侵攻を開始した。空爆で多数の軍事施設を破壊して防空網を制圧したほか、多方面から地上部隊も侵攻し、すでにウクライナ側に100人以上の死者が出たと伝えられている。主権国家に戦争を仕掛けるというロシアの暴挙。米ソ冷戦後の国際秩序は崩壊の危機を迎えた。
ロシアのプーチン大統領は軍事作戦について、親ロシア派武装勢力が一部地域を占領するウクライナ東部の住民保護が目的と説明。「ウクライナ政権によるジェノサイド(集団虐殺)から人々を守る」と正当化した。
一方、アメリカのバイデン大統領は「プーチンは侵略者だ。プーチンが戦争を選んだ」と強く非難。ロシア最大の銀行を含む5つの金融機関を対象にアメリカ国内の資産を凍結するほか、半導体などハイテク部品の輸出を大幅に制限する新たな経済制裁を発表した。
アメリカは今後、この危機にどう対応していくのか。これまでの対応や今後の注目点について、国際政治学者でアメリカ政治が専門の中林美恵子・早稲田大学教授に聞いた。

アメリカ国民も派兵には辟易

――ついにロシアが軍事侵攻に踏み切りました。

今回の事件の背景には、ロシアがウクライナの地域をどう考えているのか、旧ソビエト連邦の崩壊がもたらしたものをプーチン大統領ら政権の人々がロシア国民にどう説明し消化されてきたのかという点について、西側諸国の私たちがあまり細かい神経を使ってこなかったという事情がある。

米ソ冷戦終結後、G7(主要7カ国)の枠組みにロシアも加わったG8の時代もあったが、完全にロシアを取り込めなかったのは非常に残念なことだ。結局、2014年春のロシアによるウクライナ領クリミア半島の併合を受け、G7首脳がロシアをG8から排除するということになった。

――これまでのアメリカのウクライナ危機への対応をどう評価しますか。

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中村 稔 東洋経済 編集委員
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