そんな背景のなかで、特にイスラエルのHAARETZ2022年2月25日付記事に筆者が着目したのは、同記事がロシアの軍事戦略研究家であるディマ・アダムスキー博士へのインタビュー記事であり、同博士が今回のロシアによるウクライナ侵攻前夜にプーチンによって行われた演説や最近の言動から鋭い分析・洞察を提示していたからです。
ロシアの軍事戦略研究家であるアダムスキー博士はプーチンの言動をかねてから分析してきましたが、今回のロシアによるウクライナ侵攻前夜にプーチンによって行われた演説には、「ドイツ軍がモスクワに近づいてきた1941年11月のスターリンによる歴史的に有名な演説を想起させるような衝撃的な内容に啞然とした」と感情的な表現で感想を述べています。それは当然に、プーチンは歴史を意識して行動を起こし、演説を行ったことを意味しています。
“プーチン大戦略”5つのポイント
アダムスキー博士は、プーチンの同演説や最近の言動、さらにはこれまでの政治姿勢などから、“プーチンの大戦略”5つのポイントを以下の通り述べています。
②大戦略の実行に当たっては、多面的かつ核攻撃も辞さないなど過激化の度合いも大きいこと
③2015年のシリア軍事介入以降、軍事力の増強に注力し、実際にも強力化させていること
④ドイツ敗戦とソ連崩壊を徹底的に分析し、宥和策ではなく軍事的手段の実行が重要と考えていること
⑤プーチンはロシアと自らの運命と偉大さを同一視しており、歴史的偉業に価値を置いていること
筆者は上記に加えて欧米のメディアの論考をいろいろとリサーチしましたが、ロシアの軍事戦略研究家の大きな共通点として、「プーチンは歴史を意識している」という見方を指摘しておきたいと思います。
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